iPhoneユーザーが苛立つ「速度制限」の正体

これはどれほど深刻なことなのか?

しかし、今一度整理しておきたいのは、この制限機能は、多くの"条件付き"である、ということ。「内蔵バッテリーが気温や充電状態、あるいは経年劣化によって一定の性能を発揮できない可能性があるとき」に、プロセッサの性能を制限して電力需要を抑制するというものだ。iOS 11.2が配信された現在、対象機種はiPhone 6シリーズ、iPhone 6sシリーズ、iPhone 7シリーズ、iPhone SEということになる。

例えば2014年に新機種として購入したiPhone 6ならおよそ3年、2015年に購入したiPhone 6sならおよそ2年が経過しており、バッテリーが劣化している可能性が高い。前述のようにバッテリーの劣化の度合いに応じてこの機能が有効化されるため、多くのユーザーが性能制限を受ける可能性がある。

しかし、前述のデバイス全てが影響を受けるわけではない。例えば2017年12月に開封したばかりのiPhone SEであれば、バッテリーは劣化していないため、iOSが性能を制限することはないだろう。ただしそれでも、冬場の日本の屋外であれば、バッテリーが経年劣化していなくても低温環境という条件が加わるため、同様の性能制限が発生する可能性が出てくる。

影響を受ける場面が頻繁に訪れる可能性は低い

また、バッテリーが劣化して性能制限を受ける状態となっているからといって、影響を受ける場面が頻繁に訪れる可能性は低い。

高度なグラフィックスを駆使するゲームをプレイしたり、高解像度のビデオや写真の編集、書き出しなどを行う場合に、速度低下の影響を受けることになると考えられる。しかし、それ以外の時間、性能低下を感じることはないだろう。

iPhoneをはじめとするスマートフォンは、そのプロセッサ性能の高さをアピールしがちだが、実際には動作時間の9割ほどを、低消費電力状態で動作させ、バッテリー寿命を引き延ばしている。特にiPhone 7に搭載されているA10 Fusionは、効率コアとパフォーマンスコアに分かれており、効率コアは名前の通り電力消費を低く保ちながら、メールやメッセージなどの基本的な操作を行えるようにしている。

また現在は性能制限機能の影響を受けないiPhone 8シリーズやiPhone Xに搭載されているA11 Bionicは、効率コアを4コア搭載してA10 Fusionより7割も性能向上させ、また機械学習や画像処理などに専用チップを備えるなど、電力が大量に必要な高負荷状態になりにくい工夫をしている。

プロセッサが進歩すればするほど高性能化とともに省電力化され、この問題の影響を受けにくくなっていくことが考えられる。

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