JAL先行、ANAが追う国内線Wi-Fi競争の行方

短距離路線のサービス差別化で試行錯誤続く

そもそもJALは、Wi-Fiの導入自体で先行していた。2012年7月に国際線、2014年4月に国内線で有料での提供を開始。ANAは2014年3月に国際線、2016年1月に国内線でWi-Fiの有料提供を始めており、いずれも2年ほど遅れていた。

いち早くWi-Fiを導入した理由について、JALの江幡氏は「(2010年の)経営破綻を経て、新たな価値を提供したいという考えがあった」と話す。「最初は半信半疑だったが、国際線で始めてから予想以上に反響があった。特にサービスの差別化が難しい国内線では、当初から無料化を視野に入れていた」(江幡氏)。

飛行時間が短く、差別化要素が少なかった

国内線の飛行時間はおおむね1~2時間、長くても4時間ほどで、国際線のように座席や機内食のバリエーションを増やしづらい。乗客に自社のフライトを選んでもらうには、いかに地上と同様の、ストレスのない環境を提供できるかがカギになるといえる。

飛行機の上部にある「こぶ」の中には、機内Wi-Fi用に衛星と通信するアンテナが入っている(写真:JAL)

ただ機内Wi-Fiの無料化は、特にJALやANAのような大型機を運航する航空会社では、世界を見てもほとんど例がなかった。「無料化は本当に実現可能なのか」。江幡氏らJALの機内サービスを担当する部署は、航空機向け通信プロバイダの米Gogoと調整を進めてきた。

「どれくらいのお客様がどのようなタイミングでネットに接続するのかがわからなかったため、徐々に(無料化対象を)拡大しながら検証を重ねてきた」。江幡氏がそう話すとおり、国内線Wi-Fi無料化は2014年11月、まずマイレージプログラムの上位会員限定で始まり、2016年4~5月には全乗客向けにネット接続を15分だけ無料に。そして2017年2月から時間制限なしの無料化が始まった。

飛行機からのネット接続は、基本的に衛星通信を利用する。飛行機の屋根に取り付けたアンテナで衛星からの電波を捕捉。機内には乗客がスマートフォンやタブレットを接続するためのアクセスポイントも設けている。JALは無料化に向けて、Gogoと契約する通信容量を変更。無料化後も想定以上に利用者数が増えており、「機内の通信設備のアップグレードを進め、衛星通信の容量拡大に向け契約変更も検討する」(江幡氏)。

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