JALがロンドン線でラウンジを開放する理由 羽田発着の稼げるビジネス路線を増便へ
「なぜ調子がいいのかを徹底的に考えろ」
日本航空(JAL)の植木義晴社長は今、社内にそう発破をかけている。国際線の搭乗率が前年を上回る状況が続いているためだ。「3月くらいから潮目が変わりだした。日本発(の旅客需要)が強くなってきた」(植木社長)。
特に勢いづくのが、欧州だ。フランスなどでのテロの影響で観光客が激減していたが、昨年末から搭乗率が前年同月比で10%超も上回る月が続く。牽引するのが、出張客の多い羽田―ロンドン線だ。直近の搭乗率(有償客)は80%台後半を維持。観光以上にビジネス需要の回復スピードが早かった。
ANAも羽田を深夜早朝に発着する欧州ビジネス路線としてドイツ・フランクフルト線を運航しているが、今年6月の搭乗率は87%(特典航空券などの無償客も含む)と高い水準だ。
好調な羽田―ロンドン線を増便
そしてJALは7月12日、羽田―ロンドン線の増便を発表した。これまで1日1便、昼間に羽田で発着していた便に加え、10月29日から深夜早朝の発着便が加わる。
機材は既存便がボーイング「777-300ER」型機(244席)でファースト、ビジネス、プレミアムエコノミー、エコノミーの4クラスだったが、新規便はボーイング「787-8」(161席)でファーストを除いた3クラスとなる。
行きは羽田を午前2時45分に出発し、ロンドンに午前6時25分(現地時間)に到着。帰りはロンドンを午前9時30分(同)に出発し、羽田に翌日の午前6時25分に到着する。
「羽田の路線は需要が非常に強く、顧客の声に応えられていなかった。同じような時間に増やしても意味がないため、まったく異なる時間帯を選んだ」。路線統括本部長の菊山英樹専務は、増便の狙いをそう説明する。東京で仕事を終え、飛行機に乗ってロンドンに着けば、朝から現地で活動ができるスケジュールだ。
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