「笑ってはいけない」が圧倒的に面白いワケ 日テレの風物詩が織りなす世界的エンタメ

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また、年末の大型特番である「笑ってはいけない」シリーズは、そのスケールの大きさも破格のものです。映画を1本作るぐらいの予算と手間をかけて、さまざまな仕掛けを作り込んでいます。

また、この番組では、年越しの瞬間にも独自のこだわりがあります。年をまたぐような番組では、年越しの瞬間にカウントダウンをするのが普通です。しかし、「笑ってはいけない」シリーズではそれがありません。笑いながら番組を見ていると、いつのまにか年を越しているということになります。

ここには「年を越すことよりも、目先の1つの笑いのほうが価値がある」という番組側からのメッセージが込められているのだと思います。こんなところにも「ただ笑いだけを追求する」というこの番組の姿勢が現れているのです。

国境を超えて多くの人に愛されている

最近、発売されたチャド・マレーンさんの著書『世にも奇妙なニッポンのお笑い』(NHK出版)に興味深いエピソードがありました。「笑ってはいけない」シリーズのルーツになっている「サイレント図書館」という企画は、実はインターネットの動画サイトを通じて海外でも大人気になっていました。

そのため、この企画は正式にロシア、アメリカ、スペインに輸出され、現地でその国の出演者が同じ企画をやる番組が放送されているというのです。「笑いをこらえている人を見るのは面白い」という松本さんの発想から生まれた企画が、いまや国境を超えて多くの人に愛されているのです。

オーストラリア生まれで、日本と海外のコメディ事情にも精通しているお笑い芸人のチャドさんは、「ガキの使い」を例に出しながら、企画力に優れた日本のお笑いは世界でも通用する、と断言しています。日本中の人に愛されている大晦日の風物詩である「笑ってはいけない」シリーズは、日本を代表する「笑いのカリスマ」である松本さんが手がける世界レベルのエンターテインメントショーなのです。

ラリー遠田 作家・ライター、お笑い評論家

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らりーとおだ / Larry Tooda

主にお笑いに関する評論、執筆、インタビュー取材、コメント提供、講演、イベント企画・出演などを手がける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)など著書多数。

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