「笑ってはいけない」が圧倒的に面白いワケ

日テレの風物詩が織りなす世界的エンタメ

この企画の核心は「必死で笑いをこらえている人を見て笑う」という二重構造にあります。レギュラー陣は、目の前でどんなに面白いことが起こっても、叩かれたくないので笑いを押し殺そうとします。彼らが必死で笑いをこらえたり、こらえきれずに吹き出したりする様子を見て、視聴者は思わず笑ってしまうのです。

人は、笑ってはいけない状況で笑えることに直面すると、普段よりも笑いがこらえきれなくなってしまいがちなものです。「笑ってはいけない」という縛りがあることで、かえって「笑い」というものを過剰に意識してしまうからだと思います。

松本さんは「笑ったら叩かれる」というルールを設けることで、その場を「笑ってはいけない空間=笑いが増幅する空間」に変えてみせたのです。しかも、笑いを我慢しなくてはいけないレギュラー陣が必死で笑いをこらえている状況は、視聴者から見ても「思わず笑ってしまう状況」となっているのです。

もともと「ガキの使い」では、このような「笑いをこらえる系」の企画がそれまでにも行われてきました。たとえば、「七変化」という企画では、まじめな会議中に芸人が意味もなくさまざまな変装をして、会議に参加するメンバーがそれを見て笑ってしまったら罰金を支払わなくてはいけません。

また、「サイレント図書館」という企画では、静かにしなくてはいけない図書館というシチュエーションで、メンバーが一斉にカードを引いて、運悪く選ばれてしまった人が過酷な罰ゲームを受けます。それを見てほかのメンバーは笑いをこらえる、というものでした。

こういった企画が生まれたのは、企画者である松本さんが、新しい笑いの可能性を貪欲に追い求めてきたからだと思います。彼は単に目の前の人を笑わせるのが得意であるだけではなく、そもそも人はなぜ笑うのか、どういう状況ならより笑いたくなってしまうのか、どうすればその笑いがより大きいものになるのか、といった「笑いの哲学」への深い洞察を持っているのです。

ただ笑いだけを追求する

2つ目の理由は、ただ笑いだけを追求する、という制作者の徹底的なこだわりです。もともと「ガキの使い」という番組自体が、ストイックに笑いだけを追いかけてきた番組ではあるのですが、「笑ってはいけない」シリーズでもその精神はしっかりと引き継がれています。

この特番では、普段だったらバラエティ番組には出演しないような大物俳優などの意外なキャスティングがあって、レギュラー陣をしばしば驚かせています。まじめなイメージのある役者がふざけたギャグを真剣にやっているのを見ると、思わずおかしさがこみ上げてきます。

昨年末の特番では、俳優の斎藤工さんが「サンシャイン斎藤」としてサンシャイン池崎さんのネタを完全コピーして話題になりました。また、過去には、遠藤さんとの離婚が発表された直後の千秋さんが、しれっと登場してレギュラー陣をあぜんとさせたこともありました。大物がまじめな顔でバカバカしいことをやるからこそ、そこに笑いが生まれます。

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