2017年の政局は「忖度」と「北」に揺れ動いた 主役たちの思いは悲喜こもごもの年の暮れ

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「華々しく咲いて、無残に落花」した小池氏とは対照的に、衆院選での大躍進で一気に「野党の主役」に躍り出たのが、枝野氏だ。東日本大震災による福島原発事故の際は、菅直人内閣の官房長官としての「不眠不休」の奮闘ぶりで、当時のインターネット空間では「枝野寝ろ・菅寝るな」の書き込みがあふれた。しかし、民主党政権崩壊後は同党や、党名変更後の民進党の幹部として代表の「下支え役」に徹してきた。

ハッシュタグに奮い立った枝野氏は「立」

しかし、民進党解党―希望の党合流という「突然の嵐」(枝野氏)の中で、小池氏の「排除」発言を受けてツイッター上では「枝野立て」のハッシュタグに書き込みが殺到した。枝野氏自身も「このハッシュタグが立憲民主党結党の原点」と語り、自らの今年の漢字も「立」とした。

衆院選後に党存続を決めた古巣の民進党から「再結集」の呼びかけが続くが、「永田町の権力ゲームに乗るのは自己否定」と応ずる気配はなく、「民進、希望両党には同じ志を持つ議員も多い。個人として(離党して)我が党に来られるのは大歓迎」と党拡大にも自信を示す。野党第1党としての「自立」を重視するからだ。

12月21日の日本記者クラブの会見の際のゲストブックへの揮毫で「立つ」と書いた枝野氏は、史上最少の野党第1党という現実についても「民進党時代より政治理念、政策がすっきりした」として「小さな勢力だからこそチャレンジできる」と笑顔で胸を張った。枝野氏は年末年始返上で自前の地方組織立ち上げを押し進める考えで、民進党籍を持つ地方議員にも年内入党を働き掛けている。

ただ、既存の党組織の温存を狙う民進党の大塚耕平代表は「枝野さんらしくない。他者の自由意思に何かを強要するようなことはあってはならない」と不快感を露わにする。永田町でも「野党分裂の拡大は与党の思うつぼ」との声が支配的で、「自立」を目指す枝野氏の立ち居振る舞いには「敵(首相)に塩を送る」(民進幹部)という不安もつきまとう。

今年の漢字の投票順位ベルトテンをみると2位が「政」、4位が「核」、6位が「選」と政治絡みの字が多い。流行語大賞も同様で「共謀罪」「Jアラート」「働き方改革」に加えて、「ちーがーうーだーろー!」「魔の2回生」もノミネートされた。大賞の「忖度」の受賞者は、騒動に便乗して「忖度まんじゅう」を発売して大当たりした企画会社社長だったが、「(本来の受賞対象者は)国会で忖度を追及された財務官僚のはず」との声も少なくない。首相ら政界の「今年の主役」たちがこうした世相をどう受け止めたかは不明だが、新たな年は「政治絡みの負の話題からの脱却」(自民長老)が国民の願いとなりそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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