2017年の政局は「忖度」と「北」に揺れ動いた 主役たちの思いは悲喜こもごもの年の暮れ

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一方、今年1年の世相を表す漢字(1文字)の「北」は、世界中に「恐怖」をまき散らしている北朝鮮の核開発への国民の不安の大きさから選ばれた。度重なる長距離弾道ミサイル発射や核実験による北朝鮮危機に、首相は年初に就任したトランプ米大統領とタッグを組んで「圧力」一辺倒で対応し続けているが、打開の道は見えず、年明け以降も緊迫状態が続く。

今年2月の首相訪米、11月の大統領訪日で2度のゴルフ対決も含めて「ドナルド・シンゾー」関係は広く国際社会に鳴り響いた。しかしその親密さが北朝鮮の「日本攻撃」の理由となっていることで、野党側は「北朝鮮対策での日米首脳の『完全な一致』は外交的には大問題」(岡田克也元民進党代表)と首相批判を展開している。

「つらい1年だった」と涙ぐむ昭恵夫人

「北」という漢字には「背く」「逃げる」という意味も含む。「もり・かけ疑惑」への政府与党の対応は、首相が国会答弁などで明言した「丁寧な説明」という約束とは程遠い「逃げ一辺倒」の印象も拭えない。各種世論調査で8割近い「政府の説明に納得できない」という国民に思いに対する背信行為ともみえる。

森友問題で「籠池氏との親密な関係が国有地売却交渉での大幅値引きにつながった」(共産党)と指摘された首相夫人の昭恵さんは、年末の公式パーティの挨拶で「今年は本当にいろいろなことがあり、つらい1年だった」と涙ぐんだが、一時自粛した自身のフェイスブックへのコメント書き込みも再開している。

しかし、野党側は年明け以降も疑惑追及を続ける構えだ。年末になって東京地検が強制捜査に踏み切ったスーパーコンピュータ開発会社の詐欺事件も、永田町では官邸絡みとの噂が飛び交う。このため、立憲民主党の辻元清美国対委員長は「もりそばと、かけそばだけだと思っていたら、スパゲティまで出てきた 。もり・かけ・スパだ」と妙な語呂合わせで徹底追及をアピールする。

そうした中、首相は今年の漢字の「北」について「北朝鮮の脅威が 現実的な、差し迫ったものになった1年間だった」と指摘した上で、 自身の1字としては「挑(いどむ)」を挙げ、「北朝鮮の脅威という国難に挑み、総選挙に挑んだ年」と解説した。女房役の菅義偉官房長官も北朝鮮に振り回された1年を振り返り「選ぶとすれば安全安心の『安』だ」と語り、安定政権の成果を誇示した。

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