「小学校の英語教科化」が直面する4つの課題

現場も負担と不安を感じている

1つ目は、小学校で英語を学ぶ意味が明確でないということです。「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」(2002)や、「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」(2013)といった施策で英語教育改革がうたわれてきました。これには、経済界や保護者の要請が背景にありますが、こうした要請によって学校教育の内容を決定していいものでしょうか。

また、「グローバル化=英語化」であるとあおり立てるような教育では、これからの社会の中で真のグローバル市民として活躍する子どもたちを育てることはできないでしょう。英語さえできればグローバル市民になれるというわけではありません。グローバル市民を育てるには、何よりも世界の多様性、人間の多様性、言語と文化の多様性を認識する教育が必要です。いま一度小学生年代で英語を学ぶことの意味を、学校や保護者が把握し、社会全体で共有する必要があります。

「文字が出てきた途端、英語がつまらなくなった」

2つ目は、教科書と教え方の問題です。文科省は今秋、新要領に対応した小学5、6年生の教科書『We Can!』(2020年までの移行期間向け)を発表しました。文科省はこれまで「小学校の英語科は中学校の前倒しではない」と言ってきました。今回も「小学校英語は新しい教科である」と打ち出し、この教科書はこれまでの英語活動の成果と課題を踏まえて設定されています。

たとえば、新教科書では(小学3、4年生での英語活動も踏まえたうえで)耳で聞いた英語音声を読む・書く活動を行うことになっています。しかし、単語を習ったある6年生の男子は、「授業は楽しいんだけど、(単語の)つづりを覚えるのが難しい」と話します。それまでは楽しく英語に触れていたのに、文字が出てきた途端に英語がつまらなくなってしまったというのです。

新要領では、単語を十分に聞いて口にしてからだにしみ込ませてから、「リンゴ=apple」といった単語とつづりを覚えることを目指しています。しかし、これを実現するには、英語を何度も耳にして何度も口にして言えるようにならなければなりません。はたして、それが年間70時間でできるのか疑問です。

教え方についていえば、先日、都内の小学校の授業でこんな光景を見ました。ネーティブスピーカーのALTが、“Nice to meet you.”というのに対して生徒が“Nice to meet you, too.”と答えるのですが、この際、生徒は“too”と言いながら両手で2本指を立て左右に振る動作をやらされていたのです。

確かに、“too”と“two”の発音は同じですが、まったく異なる単語です。なぜこのようにジェスチャーをつけて教えるのかその理由はわかりませんでした。が、今後は指導内容や指導方法について議論と見直しが必要だと感じています。

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