東和フードが変えたお好み焼き店の「常識」 新戦略によって客単価が3000円程度へ倍増

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同社では、創作お好み焼き「ぱすたかん」を1983年にスタート。「ぱすた」はスパゲッティのことではなく、イタリア語の本来の意味である、粉を使った料理を指す。一方、こてがえしは2013年に創作やきものや「船橋こてがえし」としてオープン。両店を合わせて東京都内、近郊に17店舗を展開している。コンセプトは、鉄板を囲んでセルフクッキングを楽しめること。しかしこれでは当たり前のお好み焼きであり、世の中の流れには逆らえない。

看板メニューの「ブラックアンガス牛カイノミステーキ」1グラム9円(編集部撮影)

転換を図ったのが、7月の錦糸町店のリニューアルオープン時だ。目玉商品として、量り売りのステーキ「アンガス牛のカイノミステーキ」(1グラム7円)を大々的に打ち出し、さらにランチでステーキが楽しめる「昼からステーキ」もスタートした。

「錦糸町店は同じフロアにステーキ店があるので、あまりアピールできませんでしたが、有楽町店では店頭に大きくステーキの文字を出しています」(岸野氏)

みんなでワイワイ焼いて楽しむ時代ではない

そのほかにも、セルフクッキングではなく、調理して提供するスタイルに変更、アルコールメニューをワインから日本酒、焼酎、サワーと幅広く取りそろえるなど、従来のコンセプトから大きく方向転換した。

「みんなでワイワイ焼いて楽しむという時代ではないんですね。自分で焼くことは楽しみではなく、わずらわしさになった。手間がかかるというだけでなく、人間関係のわずらわしさもある。たとえば職場の人同士で来た場合、どうしても部下が焼くことになってしまうでしょう」(岸野氏)

ただし、江戸をモチーフにしたインテリア、スタッフの制服は従来のコンセプトを踏襲。外国人客にも受けそうだ。

また、従来のお好み焼き業態ではあまり想定されていなかった、1人客も増えているという。まずは運ばれてきた料理を写メしてSNSにアップ、あとは1人黙々と食べる、という具合だ。ちなみに料理の見栄えについては、岸野氏が創業時からこだわってきたポイントだ。「開発チームには、色は5色、高さは8センチメートルといつも言っている」(岸野氏)のだそうだ。確かに、メニューの写真を見ると、お好み焼きが8センチメートルとはいかないまでも分厚く、具材も高く盛り上げられている。今はまさに、SNS映えが繁盛の重要なポイントになっているから、岸野氏は時代を先取りしてきたと言えるだろう。

うず高く野菜が盛られた「プレミアム野菜焼き」。1日分の野菜(350グラム)が摂取できるのが売り。価格は店舗ごとに異なり、有楽町店では1480円(写真:東和フードサービス)

以上のような戦略の相乗効果で、お好み焼き業態に関しては客単価を従来の1500円程度から、3000円程度へと倍増することに成功したという。

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