カシオ「高級Gショック」、こだわり生産の裏側

国内唯一の時計拠点、山形工場に潜入

山形工場にはPPLを紹介する展示コーナーがあり、そこから来訪者がPPLをはじめとするラインでの検査や組み立てなどの生産過程を見られるようになっている。消費者だけではなく販売代理店などにも、カシオの生産体制への信頼を深めてもらうのが狙いだ。こうした取り組みによって、「メード・イン・ジャパンの上を行く、メード・イン・ヤマガタを確立したい」と、山形カシオの福士卓社長は話す。

組み立て作業者の腕には、技術の習熟度のランクを示す「メダル」がつけられている(記者撮影)

工場に勤める従業員からは、「PPLができてから昔と雰囲気が変わった」という声が聞かれる。20年前は量産品をたくさん造る単純作業という雰囲気だったが、PPL制度によって資格を持たない人が触発され、より上のランクを目指すモチベーションが生まれているという。マイスターやプラチナクラスになると、針の取り付けなど、組み立ての全工程を担当できる。

新工場建設で全工程を1棟に集約

山形工場の改革はこれだけではない。カシオは同じ敷地内に時計を生産する新工場を建設中で、2018年5月に稼働を始める予定だ。時計の生産能力は従来比1.5倍に増える。現在稼働している建屋は、時計以外の生産に充てる予定。具体的な品目は決まっていない。

新工場では、時計用の歯車などの部品を金型から生産する工程と、時計を組み立てる工程を一気通貫で行えるよう集約する。現在この2工程は渡り廊下でつながれた2つの建屋に分かれている。

山形カシオの敷地内では、新工場の建設が進む(記者撮影)

両建屋に入ってみると雰囲気は大きく異なる。組み立て棟は時計を組み立てるために多くの人がおり、時にはPPLなどの見学者に見られながら整然と時計を組み立てる。一方の金型棟は大型機械で金型などを造る場所で、機械の間を通る人影はまばらだ。

建屋が異なるため、これまでは部品工程と組み立て工程で二重検査をしているなど、無駄な作業もあった。また、組み立て工程からの不具合情報のフィードバックが遅れ、大量の不良部品を造ってしまったこともあったという。

福士社長は「1つの建物で一貫生産を行うことで、金型棟から生産棟に持ってくる間にゴミの入る確率が下がり、品質がいいものを造れる。そのうえ生産効率も上がる」と話す。

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