ピカソ「ゲルニカ」を生んだのは真実の報道だ フェイクが蔓延する時代のニュースとは
2週間前にはこんなことがあった。ラテン語で「真実」を意味する「プロジェクト・ヴェリタス」と銘打ち、リベラル系メディアがバイアスがかかっていることを暴くのに秘密諜報という手法を用いる保守グループに雇われた女性が、ワシントン・ポスト紙に対して、12月12日の上院補欠選挙に出馬しているアラバマ州の共和党員であるロイ・ムーア氏の被害者になりすまそうとしたのだ。
ムーア氏は、10代の少女を含む女性に違法なわいせつ行為を行った疑いで訴えられているが、同氏は容疑を否認している。前述の女性の目的は、ワシントン・ポスト紙に彼女の話を報道させ、その後、このニュースがフェイクであると明らかにすることで同紙の信用を傷つけることだった。
フェイクを「真実」のレベルに引き上げた罪
トランプ大統領がこのことを知っていたと(もしくは彼がフランコ総統の仲間であると)示すものはないが、知っている必要はない。彼はすでに、通常の記者の仕事をそれまでとは真逆なものにしてしまった。
正確な報道をフェイクであると宣言することによって、それが、どこが発しているニュースであろうと、フェイク報道を「真実」のレベルに引き上げている。フェイクニュースはトランプ大統領が信じてほしいものであり、彼の支持者が信じたいものである。
自らの目で見て、自らの声で聞き、自らの判断で物語を組み立て、正確さを追求するために自らを律するという、ジョージ・スティアの報道の流儀は、ワシントン・ポスト紙がフェイクのセクハラ話を報道することを拒否したように、幸いにも健在だ。
そうした報道は見つけ出されるべきであり、頼られるべきである。しかし、いんちき最高司令官は、いまだに公職の権威を占め、彼を信じたいと願う何百万ものフォロワーに慕われているのである。
(文:ジョン・ロイド)
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