米国株の高値波乱が「暴落」につながる危険性 市場は悪材料を見ても見ぬふりをしている
日米両国の主要な株価指数が、高値圏でかなり荒っぽい展開になっている。先週12月4日(月)のニューヨークダウ平均株価は、一時最高値を更新したものの、その後やや下押し、結局週末にかけては終値ベースでは最高値を奪回した。だが、取引時間中の高値は抜けなかった。一方、日経平均株価は同6日(水)に前日比で445円もの大幅下落となり、その後2日で下げ幅を埋め戻す以上の上昇をみせるなど、乱高下しているのだ。
株価が高値波乱になっている背景には何がある?
こうした高値波乱を引き起こした背景は、もっぱら米国発の要因であり、日本国内では(個別銘柄は別として)市場全体を揺るがすような材料は乏しかった。その米国における要因とは、経済面というよりは、政治・政策に関するものだった。具体的には、以下のように、本来は株価にとって「株価押し上げ材料」「中立材料」「株価下落材料」の3つがあったと言える。一つ一つ見て行こう。
まず、株価押し上げ材料は、税制改革法案の、予想よりもかなり早い審議だと言える。
上院と下院で、それぞれ異なる減税案が審議され、下院はいち早く11月16日(木)に本会議で可決されていたが、上院も12月2日(土)未明に本会議で可決された。
現時点では、上院と下院でばらばらな減税法案のすり合わせが行われている。もし上下院で一本化されれば、両院で再可決し、ドナルド・トランプ大統領が署名すれば発効する。今のところ再可決は、クリスマス休暇前の最終日である12月15日(金)には間に合う、という観測が広がっている。筆者が11月に米国出張した際は、「減税法案成立は、年内はとても無理」との見解が圧倒的だったので、想定以上にスピードが速くなっている。
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