米国株の高値波乱が「暴落」につながる危険性 市場は悪材料を見ても見ぬふりをしている

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では最後の株価下落材料とはなにか。それは、いわゆる「ロシアゲート」だ。こちらもこのところ、急進展を見せている。まず、前大統領補佐官であるマイケル・フリン氏が12月1日(金)に起訴されたが、これはトランプ政権発足前に、ロシアに対して政権発足後の経済制裁緩和などの方針を伝えたことによる。米国では、ローガン法という法律があり、民間人が、米国と争っている国に、米国政府の許可を得ないで接触し、交渉を行なうことを禁じている。トランプ氏の大統領就任前は(当選後であっても)オバマ政権が米国政府であり、当然トランプ大統領も政権移行チームも、民間人の扱いだ。

クシュナー氏もトランプ大統領も無傷でいられるのか?

今回、フリン氏は、トランプ政権移行チームの「かなり上位のメンバー」から指示を受けた、と証言しているが、そのメンバーとはジャレッド・クシュナー氏ではないかとみられており、それが真実であれば、クシュナー氏もローガン法違反となりうる。トランプ大統領までローガン法違反となるかは定かではない(関わりが立証されるかは不透明だ)が、娘婿のクシュナー氏が起訴されるような事態になれば、世論の批判が強まる可能性があり、トランプ大統領の辞任も否定はできないだろう。

また、トランプ大統領は、フリン氏がFRB(連邦捜査局)にロシアとの関係を偽証した(犯罪行為を行なった)ことを知りながら、フリン氏に対する捜査を中止するよう、FBIに圧力をかけた疑いが強まっている。そうであれば、司法妨害として、弾劾の対象になりうる。

さらに、12月5日(火)には、一連の捜査にあたっているロバート・モラー特別検察官が、ドイツ銀行に、トランプ大統領と家族の口座情報を提供するよう、求めたと報じられている。

この件については、以前から、ドイツ銀行がロシアの銀行に対して、トランプ氏向けの貸付債権を転売した(ロシアの銀行が、ドイツ銀行からトランプ氏の借入金を買い取る形で引継ぎ、その後トランプ大統領からの返済について手心を加えた可能性)、もしくは、トランプ大統領がドイツ銀行からの返済金を全額返せない場合は、ロシアが補填する、という裏約束があったとの、真偽不明の噂が飛んでいると聞く。

12月6日(水)には、大統領の長男であるトランプジュニアが、議会下院の情報委員会に呼ばれ、証言している。これは非公開だったため、何を尋ねられてどう答えたかはわからない。だが、ジュニアは詳細について、ほとんど語らなかったと報じられている。

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