シャープ、1部復帰で試される8KTVの本気度 韓国勢にどう挑む、有機EL戦略も注目集める

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ただ、独占市場と化した有機ELパネル市場では当然ながら価格競争は生まれない。JOLEDへの出資で名前があがる企業の幹部は「早くほかのメーカーからも調達できるようになればいいが」とこぼす。日の丸連合の結成は国内メーカーにとって悪い話ではないだろう。

JOLEDへの出資の意向を問われた戴社長は、「(日本に有機EL生産の)技術を残したいのかどうか、まずは経済産業省と(JOLEDに75%出資する)産業革新機構に相談して、国のポリシーを聞きたい。そのあと、シャープが判断する」と意欲を見せた。

シャープは今回、来年4~6月の量産開始を発表していたスマホ向け小型有機ELの試験出荷が今月にも開始されることも明かしている。さらに、大型の研究開発も検討しているという。自前での生産と出資先からの調達をうまく使い分けて固定費を最小限に抑えつつ、小型、中型、大型の全てに目配りするつもりなのかもしれない。

2019年度まで社長にとどまる

東証1部上場セレモニーで鐘を鳴らすシャープの戴正呉社長。2019年度までは社長にとどまる考えを示したが、やるべき仕事は大きい(撮影:大澤 誠)

かねてから、東証1部に復帰したら社長を辞めたいと発言していた戴社長。会見でも「今もその気持ちは変わっていない。ただ、役員会で、(2019年度までの)中期経営計画が終わる前の社長交代は異例だと言われた。私のワガママは通せない」と本音を口にした。

この発言は2019年度までは戴社長が続投することを示すものだ。さらに、2018年1~6月の期間に共同CEO体制への移行や決裁権限の委譲を検討していることを明らかにした。次期社長育成を見据えた動きと言える。

鴻海の傘下で「東証1部上場企業」の座を取り戻し、名実ともにアクセルを踏み始めたシャープ。鴻海の力を借りた8K液晶の立ちあげを軸に、有機ELディスプレーもぬかりなく。この2つが戴社長の最後の大仕事になるかもしれない。

印南 志帆 東洋経済 記者

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いんなみ しほ / Shiho Innami

早稲田大学大学院卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界、総合電機業界などの担当記者、「東洋経済オンライン」編集部などを経て、現在は『週刊東洋経済』の巻頭特集を担当。過去に手がけた特集に「半導体 止まらぬ熱狂」「女性を伸ばす会社 潰す会社」「製薬 サバイバル」などがある。私生活では平安時代の歴史が好き。1児の親。

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