フリン氏の「有罪答弁」がメディア報道された12月1日の夜、フィラデルフィアのCBSラジオで極めて重要な放送があった。それはハーバード・ロースクールの名誉教授で、これまで数々の著名な刑事事件の実務を成功裏に手掛け、憲法学の権威として名高いアラン・ダーショウィッツ氏のインタビューだった。
同名誉教授は、その放送で、フリン氏が政権移行期に、たとえば、ロシア大使と意見交換したり、ロシアと協議したりするのは、ごく自然なことであるにとどまらず完璧に合法であり、フリン氏はうそをつく必要はまったくなかったと断言したのだ。
さらに、同名誉教授は、FBIに対して虚偽の供述をしたという「有罪答弁」を、特別検察官が引き出すなどというのは、どんな検察官も決してやりたいことではないと明言した。ミュラー特別検察官としては、政権のほかの人間を巻き込む形で、話を広げたかったのだろうが、それができなかったために、やむなく、そうせざるをえなくなったのだろう、とミュラー氏の胸の内の葛藤を、同名誉教授は見事に推理した。
すなわち、「ミュラー氏はその弱みを見せた」と、同名誉教授は明快に語ったのだ。なぜなら、虚偽供述を認めさせたことで、客観論理として、フリン氏をまったく信頼できない証人にしてしまったことになるからだ。今後、フリン氏のあらゆる証言の信用力が一気に薄れ、証言そのものが通用しなくなる可能性が高い。
弁護士がトランプ氏の名でツイッターに投稿
この名誉教授のラジオ・インタビューをネット放送で聞き、筆者は「なるほど」と思った。それは、筆者だけでなない。トランプ氏個人の弁護士の1人もそう思ったのであろう。というのは、その弁護士は、名誉教授の放送内容がネットで公表され全米で高い注目を集めた10時間後に、ツイッターを書いて公表しているからだ。
そのツイッターの投稿者名は何とトランプ大統領だった。その弁護士がトランプ氏の名でツイッターに投稿したのは、これが初めてだったという。
実は、そのツイッターの内容で、米メディアが、まるでハチの巣をつついたような騒ぎとなった。弁護士が作成したツイッターは、トランプ氏のツイッターの持ち味である「攻めの論理」も「タフな迫力」もなく、違う趣の美文調だった。そのためか、「反トランプ」メディアに勝手に解釈され、メディアを勢いづかせた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら