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2030年コンピュータはどこまで人間に迫るか 格段進化の人工知能がヒトの仕事を奪う日

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  • 齊藤 元章 スパコン・人工知能エンジン開発者
  • 井上 智洋 駒澤大学経済学部准教授
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井上:AIで無数に曲をつくるというようなことは、すでに計画されていますし、実績も一応あります。いままではモーツァルトやバッハのまねをする程度でしたが、今後はポップスの曲をどんどんつくっていこうということになってくると思うので、既存の作曲家にとっては脅威になるでしょう。それでも、斬新な曲であるとか、オリジナリティの高い曲をつくるのは難しいのではないかと考えられます。

なぜかというと、つくられたメロディに対して、それが心地良いかどうかを判断するのは人間の脳であり、AIが人間の脳そっくりにはなかなかならないと思うからです。先に私が「AIを人間に似せる作業がずっと続く」と話したのも、そういう意味があるのです。人間がつくるようなオリジナリティのある曲を、AIがつくることはなかなかできないと思います。

あるいは、AIがたとえオリジナリティのある曲をつくったとしても、それは人間にとって心地良くない可能性が高いのです。AIが人間とまったく同じような感性を備えていないかぎり、AIの創作活動は人間の感性とは合わないあさっての方向に進んでしまうからです。

さらに、芸術分野のなかでも小説や映画のような複雑な構築物であればあるほど、AIにとって難しく、さらにハードルは高まるでしょう。逆に、コラージュアートや俳句のような構成要素が少なく、構造が単純な芸術分野であれば、AIにも面白いものをつくれる可能性があります。

現実がSFを超える日は近い

齊藤:ご承知のように、シンギュラリティの信奉者である「シンギュラリタリアン」を自任する私は、もう少しアグレッシブな経過をたどることを想定しています。

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井上先生が指摘されているクリエイティヴィティ、マネジメント、ホスピタリティについても、AIが人間の能力に匹敵するようになるのは案外早いのではないかという気がしていますが、これも本当に蓋を開けてみないとわからない部分なので、これから推移を見届けていく必要がありますね。

汎用人工知能がカギになるというのは同感で、現在はある機能や用途に特化して急速に発達している人工知能が汎用性を持つようになると、本質的にまったく異なる意味合いになってくるとおっしゃっているのもその通りだと思います。結局のところ、汎用人工知能がいつできるのかということが、われわれ人類の将来を非常に大きく左右することになりますね。

井上:齊藤さんは、汎用人工知能の登場は、もう少し早いとお感じですか。

齊藤:本質的な部分を考えると、2030年頃という見立てです。下手をすれば2025年にも、われわれが予想するよりもはるかに高度な汎用性を持った人工知能が出てきてもおかしくないと考えています。

そうした意味において、現実がSFを超える日は近いのではないかと私は思います。

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