津波から命を救う「救命艇シェルター」の正体

25人も乗れて価格は800万~900万円

水野社長は当初、車の整備の仕事をしていましたが、成熟した車のマーケットで仕事をするより自分にしかできないことはないか、と考えました。そこで、マリンの仕事に特化することにしました。

実は父親もディーゼルエンジンの噴射ポンプの仕事をしており、その背中を見て育ったせいか、子どもの頃からエンジン自体が大好きだったとか。小学校の時、お年玉を貯めてラジコンのエンジンを買いましたが、それは動かすのではなく分解するためだった、と笑います。好きこそものの上手なれ。今では官庁の仕事も請け負うマリンエンジン整備の第一人者です。

技術の安売りをするな

ミズノマリンの水野茂社長(筆者撮影)

水野社長は、今日、自分があるのはお客様のお蔭、と言います。お客様あっての自分。よく言われる言葉ですが、水野さんの場合は体験から出た本音だと思います。

「駆け出しのころいただいた仕事のことで思い出があります。その依頼主さんは、どこにお願いしてもエンジンが直らず困っていました。でも私がやってみたら、たった1時間、しかも、1つの部品も替えることなく直りました。時間も手間もかからなかったので修理代は5000円です、と言うと、お客様から『どこに行っても直らなかったのに、こうやって直してもらった。技術の安売りはしてはいけない』と3万円いただきました。有難いお言葉でした。同時に、技術の持つ価値というものにも気付かせてもらいました」

救命艇シェルター内部(写真:ミズノマリン)

お客様はクルーザーのオーナーですから、仕事上の成功者が多く、その言葉には深い含蓄があります。今では考えられませんが、16時間働け、と言われたそうです。自分の時間は、残り8時間だけ。創業当時はそのくらいがむしゃらに働け、ということです。

もう1つ大事なこととして、人の集まるところに行け、とも言われました。水野社長、もともとはエンジニアなので、本当はそんな集まりは苦手です。でも無理して行くと、いろいろな人と知り合いになれます。お会いして得られる生の情報は貴重なものばかりでした。そして「小さな約束ほど守りなさい」とも教わりました。営業をしながら、お客様によって経営者として鍛えられたのです。

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