ハリウッドスキャンダルのワインスタイン氏の全盛期は、オバマ政権時代とぴったり重なる。ワインスタイン氏は民主党の有力スポンサーであり、同時にオバマ氏の強力プロモーターだった。そうした長年の縁からなのであろう、オバマ氏の長女マリアさんが、ワインスタイン氏のオフィスでインターンとして働いたこともよく知られている。
そのマリアさんが、ワインスタイン氏に対する民事の集団訴訟の、将来的な証人として呼び出される可能性もゼロではない、という見方がある。たしかに、これからの訴訟の展開次第では、その可能性は論理的に残る。
トランプ氏のメディアとの相性は悪くない?
今回、ワインスタイン氏のセクハラ報道が全米を揺るがしているあいだ、オバマ氏は沈黙したままだった。メディアは「5日間の沈黙」と報じた。その後にオバマ氏がやっと出したコメントは、かなり浮世離れしたものだった。
オバマ氏の「(ワインスタイン氏の)高い地位や富にもかかわらず」という条件付きでの用心深い批判の言葉からは、手厳しさはまったく感じられない。オバマ氏はワインスタイン氏に対して、この期に及んで、なおゴマをすっている感じがする。
これは、いくらメディアがオバマ氏の肩を持とうとしても、オバマ氏には、内心、メディアとの相性がよくないという不安感があり、それがオバマ氏のメディアに対する臆病なほどの神経過敏につながっているのではないか。
これに対して、トランプ氏はメディア嫌い丸出しで、メディアとはまるで「水と油」のような相性の悪さ、どうしようもない敵対関係を思わせる。しかし、情報論理学的な意味では、トランプ氏とメディアとの相性は悪くないのではないか。
オバマ氏とビル・クリントン氏の2人には共通点がある。1つは、メディアに対する緊張感が強いこと、2つは、雄弁と沈黙を戦略的に使い分けることだ。これに対して、トランプ氏は、毎日どころか毎時間、平気でメディアにすぐ反発し、反論する。
実は、トランプ氏本人も周りもまったく気づかないでいるが、トランプ氏とメディアの相性のほうが、むしろ、いいし、より健全かもしれない、と筆者は分析している。
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ゆあさ たかし / Takashi Yuasa
米国弁護士(ニューヨーク州、ワシントンD.C.)の資格を持つ。東大法学部卒業後、UCLA、コロンビア、ハーバードの各ロースクールに学ぶ。ロックフェラーセンターの三菱地所への売却案件(1989年)では、ロックフェラーグループのアドバイザーの中軸として活躍した。映画評論家、学術分野での寄付普及などでも活躍。桃山学院大学客員教授。
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