貧困で塾に通えない子を救うクーポンの正体 教育格差に切り込むクラウドファンディング

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:今井さん自身も発見があったのではないですか?

今井:私自身が子どもたちから勇気をもらったり、元気をもらったり。こんなに子どもたちが前を向いて頑張っているんだから、自分も頑張ろうと。実は、支援者の方たちから同様の声が聞かれます。支援を「受ける側」と「する側」の境界線がどんどんなくなっていけばいいと思っています。前を向いて一生懸命頑張っている子どもたちから救われる大人がいて、自分のできる範囲で子どもを支える中、子どもたちの学びの機会や可能性が広がっていていく。子どもたちも、支えられる側から、支える側に回るお子さんも出てきて。僕たちもいつどこで何が起きるかわからなくて、「支えられる側」に回ることだったあるわけですよね。社会が完全に「支える側」と「支えられる側」に分かれるのではなく、「支える側」にいることがあれば、「支えられる側」にいることもあるという状況になれば、もっと生きやすくなると思っています。

サポートできる環境を全国に広げていきたい

スタディクーポン・イニシアティブ

:今回の渋谷区での「スタディクーポン」にはどういう事業者たちが集ってきていますか?

今井:今はまだ正式に事業者を公募する前の段階なのですが、たとえば学習塾のような集団型の授業をしてきた事業者、大手を含めた家庭教師の事業者、不登校の子どもに特化した学習指導を提供するNPO、相談活動も行いながら子どもたちの様子を見ていけるような団体さんまで、幅広く参加していただいている状況です。このほか、これから渋谷区内の地域の事業者さんにもお声がけしていこうと思っています。

:当事者の反応は?

今井:お母さんが病気で働けず今のままでは公立の学校に行けないという状況のお子さんが、「だからこれから頑張って勉強をしたいんだ」とご自身でわれわれに連絡をくれたんです。しかし、今回の対象地域ではなかったので、このお子さんに直接支援ができず本当に心苦しい思いをして、自治体の方におつなぎした次第です。当事者の方々からの「自分で勉強したい」という声にまだまだ対応できていないということは、ものすごく悔しいですね。

:今回は渋谷区との取り組みですが、今後はさらに広がっていくといいですよね。

今井:まさしくそうです。渋谷区での取り組みをベースにしながら、これから全国のいろいろな自治体と連携して広げていくことを目標として立ち上げています。地域外から「私もスタディクーポンが欲しい」「私も勉強したい」という声があるので、しっかりと広げていきたいと思っています。

:今後の課題は何ですか?

今井:「財源」が今後の課題になってくると思います。さまざまな事例を増やしていこうと思っています。自治体の中で予算を組んでくれるのがベストなのですが、それだけではなく、地域の中でふるさと納税を集めてそれを財源にやっていくという方法があるかもしれません。一方で、国に対しても働きかけをしており、既存の補助金制度の中で自治体が手を上げれば「スタディクーポン」の活動にも使うことができないかとも考えています。今、全国から「やりたい」という声が上がっている状況なので、「ここでもこういう形でできた」「ここでもこういう財源を使ってできた」という事例を増やすことによって広がっていくんだと思っています。

「チャンス・フォー・チルドレン」の取り組みより ©Rintaro Kume

:最後にメッセージをお願いします。

今井:おかげさまでこれまでに500人以上の方々にサポートいただき、クラウドファンディング1000万円という目標額を達成しました。しかし、支援を求めている子どもたちはまだまだいます。あと10人にこのスタディクーポンを届けることができるよう、1300万円というネクストゴールを設定しました。これでもまだまだ足りないのですが、1人でも多くの子どもたちが学びの機会を得て前に進んでいくことができるよう、われわれも取り組んでいきたいと思っていますので、ぜひ応援のほどよろしくお願いします。

「スタディクーポン・イニシアチブ」については「GARDEN」当該記事

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GARDEN編集部

『GARDEN Journalism』(https://gardenjournalism.com/)は、公益事業者の発信を支援するプロジェクトGARDENが運営するニュースメディア。社会問題と向き合い、困っている人たちの一助になろうと奮闘している、NPOやNGO等の方々の活動を取材し、動画と記事で発信している。

4つの支援の形として、以下の4つのマークを用意。

・必要な資金を寄付することで種を育てる、「支援したい」水差しのマーク

・発信し情報を多くの人に広めることで種を育てる、「取材したい」カメラマーク

・ボランティアやイベントに参加することで種を育てる、「参加したい」花びらのマーク

・気持ちを届けることで種を育てる、「共感する」お日様のマーク

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