ゲーム会社が「アウトドア」に乗り出すワケ 非ゲーム事業に力を入れるアカツキの戦略
香田氏がアカツキ社員をアウトドアレジャーに連れていくのには、理由がある。ソーシャルゲーム開発を主力としている同社だが、実はもう1つの事業がある。それは「ライブエクスペリエンス事業」で、そのうちのひとつが「そとあそび」と呼ぶ、アウトドアレジャー予約サイト。昨年7月に14億円で買収したそとあそびは、この分野では老舗で、現在でも同社を率いる創業者の山本貴義氏はアウトドア業界では、知られた存在だ。
「ワカサギ釣りの体験ツアー」「スノーシュー・スノートレッキング体験ツアー」。そとあそびのサイトをのぞくと、定番の乗馬やラフティング、パラグライダーなどから「こんなアウトドアレジャーがあったのか!」と思わせるようなものも含めて、さまざまな種類のアウトドアレジャーが掲載されている。
最大の特徴は、山本氏が立ち上げた時代から「キュレーター」と呼ばれる9人のガイド役がそれぞれの事業者を取材し、自ら体験したものを掲載していること。多くの人はネットで検索するだろうが、アクティビティによっては価格差もあるため、結局どこの事業者がいいのか迷うことが少なくないはずだ。
そとあそびでは「安全性はどうか」「ちゃんとしたガイドかどうか」など、アウトドアのプロが目利き役となって事業者を選んでいるため、初心者でもわかりやすい。一方、「事業者側もいろいろな思いを持ってやっているところが多い。アウトドアをわかっている人が語ってくれると、事業者からも信頼を得ている」(香田氏)。
ゲームのような爆発的ヒットは見込めない
ライブエクスペリエンス事業にはこのほか、施設やイベントなどの予約サイト「Wowful」もある。11月13日に同社が発表した2017年4〜9月決算では、モバイルゲーム事業の割合が圧倒的に高いため、ライブエクスペリエンス事業の業績については非開示とした。決算資料によると、そとあそびの売上高は前年同期比40%伸びているが、今後どの程度のスピード感で事業が拡大するか未知数だ。
香田氏自身も「そとあそびは春と秋に1回ずつ使ってもらうようなサービスになればいい」と、ユーザーに、ゲームのような「深い」関わりを求めているわけではない。
今後日本人の利用頻度向上や、外国人の利用者の増加を見込めることを考えれば、そとあそびが成長するポテンシャルはある。とはいえ、ゲームのような爆発的な「ヒット」を見込める事業ではないだろう。
となると、アカツキがゲームとは程遠いと思えるそとあそびなどの事業を取り込んでいるのはなぜだろうか。
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