国際帝石、カザフの巨大油田で生産開始 最大で日本の石油消費量約10年分に相当も

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同油田のオペレーター(操業主体)はメジャーなど出資各社が参加した操業会社のNCOCが担っており、国際帝石も技術者を派遣している。カスピ海北部のカシャガン油田は、冬期には湖面が凍結するなど厳しい環境にあり、水深が3~6メートルと浅いため、大型船が使えず探査が難しい。人工島を造って採掘作業を行っており、コストもかさむ(写真)。

また、地元特産のチョウザメ(その卵がキャビア)など生態系への配慮も不可欠であり、原油に含まれる硫化水素が作業員に影響しないよう、その除去も必要だ。こうした悪条件下での開発技術を実地に習得することは、国際的なオペレーターになるための重要な実績となる。

今期から利益寄与、15年度に純利益100億円超の貢献も

国際帝石の業績に対する、カシャガン油田の寄与も今2013年度から始まる。インペックス北カスピ海石油は国際帝石の出資比率が45%(残りは石油天然ガス・金属鉱物資源機構〈JOGMEC〉が50%、石油資源開発と三菱商事が各2.5%)だが、実効支配によって国際帝石の連結子会社となっている。

これまではインペックス北カスピ海石油は開発コスト先行で赤字だったが、生産が開始された今期は売り上げで百数十億円、純利益で30億~40億円の寄与が見込まれる。2014年度には売り上げで500億円、純利益で100億円近くとなり、15年度には売り上げで700億円前後、純利益で100億円を超す貢献が想定される。原油価格が1バレル=100ドル強の現水準が続くことが前提となるものの、原油価格が1バレル=80ドル以上であれば採算は十分確保できるもようだ。

ちなみに国際帝石の前2012年度の連結業績は、売上高1兆2165億円、営業利益6934億円、純利益1829億円だ。

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