国際帝石、カザフの巨大油田で生産開始 最大で日本の石油消費量約10年分に相当も

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国際石油開発帝石(国際帝石)は9月11日、カザフスタン共和国・北カスピ海沖合鉱区にある世界有数の巨大油田である、カシャガン油田(写真)での原油生産を開始した。資源小国・日本にとっても大きなニュースだ。

同社は1998年、子会社のインペックス北カスピ海石油を通じて同鉱区の7.56%の権益を取得、カザフスタン国営石油会社ケーエムジーやエクソンモービル、シェル、エニなど石油メジャーと共同開発を行ってきた。

当面、カシャガン油田では第1次開発の初期生産として、10月上旬ごろに20本の生産井から日量18万バレルの生産量が計画されている。来2014年の秋ごろには40本の生産井で日量37万バレルまで引き上げられる予定であり、その時点で国際帝石の子会社の権益比率や契約内容を反映したネットの生産量は約2万バレルとなる。

これは国際帝石の世界全体における12年度の生産量40.8万バレル(天然ガス、石油ともに原油換算)の約5%に相当する。

可採埋蔵量100億バレル超、将来は日量100万バレルも

カシャガン油田は原始埋蔵量で350億バレル、可採埋蔵量で90億~130億バレル(日量37万バレルで100年分近く)の原油を有する巨大油田。最大で130億バレルという可採埋蔵量は日本全体の石油消費量の約10年分に相当する。同油田ではカザフ政府の認可が下り次第、第2次、第3次開発へ進む方向。

さらに北カスピ海沖合鉱区では、カシャガン油田のほかに、南西カシャガン、アクトテ、カイラン、カラムカスと呼ぶ4つの既発見未開発構造が確認されている。将来、これらの開発によって生産量が大幅に増加する可能性が高い。来2014年の目標である日量37万バレルから、将来は日量100万バレル前後へ拡大したとしても不思議はない。

今回の原油生産開始の意義について、国際帝石の板野和彦・常務執行役員経営企画本部副本部長は、「巨大油田の現場で操業主体としてかかわることにより、技術力、総合管理力を蓄積できるという技術面の意義に加え、会社の収益に寄与するという経済的な面での意義がある」と話す。

次ページ15年度には純益で100億円超も貢献
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