あのビリギャルが30歳でたどり着いた新境地 小林さやかが「ママの支援」を始めたワケ
「十何年も前の受験の話をずっとしているだけじゃダメだ。子どもたちに見えるかたちで、何かリスクをとってでも新しい挑戦をしてみたいなと思ったんです」
そこで思いついたのがクラウドファンディングで資金を調達し、1日限定の『渋谷でママ大学』を開校することだった。講演などで子どもたちと接する機会の多かった小林さんにとって、ママに目線が向くことはごく自然な流れだったという。
「いろんな人に力を借りて集まった大事なおカネだから、子どもたちが喜ぶことに使いたかった。で、彼らにとって嬉しいことって何だろうと考えたときに浮かんだのが、ママがもっとハッピーになることだったんです。子どもにとって親が幸せであることは、何より幸せなこと。だけど、私も日々いろんな親御さんからご相談をいただくのですが、皆さん子育てに悩んでいたり疲れていたり、何だかすごく大変そう。だから、足を運んだお母さんたちが、子育てしながらワクワクできるような場をつくりたくて、『渋谷でママ大学』をやろうと決めたんです」
小林さんの呼び掛けに、多くの賛同が集まった。クラウドファンディングは見事成功し、『渋谷でママ大学』はママたちの笑顔で溢れ返った。
信じてくれる人がいると、自分の可能性を信じられる
“ビリギャル”のイメージから卒業し、新しい一歩を踏み出した小林さん。その笑顔は、とてもポジティブだ。いつも前向きでいられる秘訣は何なのだろうか。
「『幸福度=自己肯定感』というのが私の持論。私は自分のことを自己肯定感の塊だと思っています。“Hi,Mike”という英文を『ヒー、ミケ』と読んでいた私が慶應大学への進学を目指せたのも、この自己肯定感の賜物。普通の人なら『無理!』って言うところを、私は『慶應だったら行ってみてもいいかな』っていう謎の上から目線だったので、そういうところに塾の講師だった坪田先生は可能性を感じてくれたみたい(笑)。
私がそんなふうに思えたのも、全部お母さんのおかげ。私のお母さんは、いつも私が家に帰ってくるだけで抱きしめて褒めてくれるような人で。中3のとき、学校に煙草を持っていたのが先生に見つかって怒られたときも、先生に対して『間違いはおかしたけれど、こんないい子はいないです』って言ってくれた。いつもお母さんが私のことを信じてくれたから、私も自分のことを信じられたんだと思う」
子育ては難しい。自分もかつては親の小言に反発していたはずなのに、自分が親の立場に立つと、子どもの将来を思って口やかましく言ってしまうのが性だ。