地方組織の「自律性」と「国政への参加の度合い」
政党の地方組織には、二つの特徴がある。一つはそれが全国的な政党の支部であることだ。政党のリーダーを頂点とした階層的な組織の中で、地方組織は末端として活動する。政党本部で活動方針が定められても、それが実現されるかどうかは地方での動員に依存するのである。
支部は、単に中央に協力するだけではなく、地方で生じた国政への要求を政党のリーダーにフィードバックする機能を持つことも期待される。社会のニーズをつかみ、政策の提案に反映させる貴重な回路なのだ。
政党の地方組織が持つもう一つの特徴は、多様な種類の政治家が集まる組織であることだ。国会議員・地方議員、さらには議員となっていない運動家を含めて、政党として重視する価値の実現を目指す。
日本では、都道府県という自治体の単位で地方組織が形成されている。地方組織は国政に地域の代表を送り出す機能と共に、自治体単位の地方政治への関与をも求められる。
建林正彦編『政党組織の政治学』は、このような特徴を持つ地方組織の「自律性」と「国政への参加の度合い」に注目する。そのうえで、地方組織のあり方によって政党を図のような類型に整理している。
「自律性」とは、地方レベルの課題に関して、地方組織が党本部からどの程度自律的に、地方政治の事情に合わせた意思決定をできるかということである。自律性が高ければ、地方組織の政治家は党本部と異なる決定を行うこともできるが、その代わり党本部と地方にズレが生じる可能性もあり、政党としての一貫したブランドを築きにくくなる。
「国政への参加の度合い」とは、国政レベルの課題に地方組織としてどの程度参加できるかを指す。たとえば、国政選挙の候補者選定を(党本部の「落下傘」でなく)地方主導で行うとか、地方からの要望を政党経由で国政の意思決定に反映させるということである。
地方組織の国政参加の度合いが高いことは望ましいように見える。しかし、あまりにその度合いが高く、地方の事情ばかりを考慮することになれば、やはり政党としての統一性は保ちにくい。
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