特徴的なのは、入学試験や成績評価がないこと。ここでは他人の評価ではなく、自分自身が何を学び、それを世の中でどのように生かしていくかが重要だと考えられているからだ。
IPCには、高校卒業後、大学入学前の1年間、「ギャップイヤー」制度を利用して通う生徒のほか、社会に出てある程度のキャリアを積んでからやってくる生徒もいる。
IPCに通う30歳のハンガリー人女性は、「自分に時間を与えて、新しいスキルと可能性を発見したいと思ってここに来た。これまでの金融業界でのキャリアを捨て、今後は教育者になるという新たな目標ができた」という。
彼女のようにキャリアを見つめ直すために入学する人もいれば、他校への通学が困難になってここに来たという生徒もいる。それもこの学校の持つ重要な役割である。
「生徒は、人生の岐路に立ったとき、また今の生活に疑問を持ったりしたとき、少しだけ人生を休んでここにやってきます。仲間と悩みを共有し、将来について考え直し、そして巣立っていくんです」とクリスチャンセン前IPC校長は話す。
フォルケホイスコーレの仕組みを使えば、学校や仕事からいきなりドロップアウトしてしまうのではなく、一度立ち止まって、これからを考えることができる。そうした教育ラボ的な仕組みとして機能しているのだ。