「自分探し」を支援する、デンマークの仕組み 時に立ち止まり、学び直す選択肢が必要だ

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朝礼の風景。グローバルのトピックスのプレゼンテーションや歌を歌うなど、多彩なプログラム(写真:未来教育会議)

最大の目的は学力向上ではなく「人間形成」

次にご紹介するのはエフタスコーレ。14~17歳を対象に国内に約260校存在する、デンマーク固有の全寮制の私立学校だ。デンマークでは公立学校の8、9、10年(日本の中学2、3年、中学卒業後高校入学前のギャップイヤー)を、生徒の意思でエフタスコーレに置き換えることができる。主に8年生は人間関係の悩みなどから環境を変えたかったり、9年生、10年生は自分の進路に迷ったり、親元を離れ自立して生活してみたいという子が多く通っている。

デンマークのロラン島にあるエフタスコーレ(写真:未来教育会議)

エフタスコーレで最も重視するのは、学力向上ではなく、子どもたちがさまざまな人と出会い多彩な経験を積むことだ。

私たちが訪れたHalstedhus Efterskoleは、乗馬とスポーツを特徴としているが、音楽や演劇など、専門技術を磨くためのエフタスコーレもある。どのエフタスコーレに行くかは、地域の伝統によっても異なり、コペンハーゲンの大都市の子どもたちは、地方のエフタスコーレに行く傾向があるという。結果として多様性に富んだ生徒の構成となり、社会の視野が広がる新しい経験を求めて、全体の約3割が選択しているという。

実際に通う子どもたちに話を聞くと、「自分が何が得意か、何をしたいのかを考えることができ、自信を持てるようになった」「共同生活を通じて最高の仲間と巡り合えた」といった声が上がった。14~17歳という多感な時期に、多様性のある集団の中で生活をすることが大きな糧になっているようだ。

午前中は通常の授業を行い、午後は150人の生徒がそれぞれ選択科目(乗馬やスポーツ等)を履修(写真:未来教育会議)
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