日本の自動車産業が「EV戦争」で勝ち残る道 トヨタ連合が基盤技術の標準化で反撃
[東京 8日 ロイター] - 電気自動車(EV)で出遅れるトヨタ自動車<7203.T>を中心とした企業連合が、ようやく「反撃」の動きに出始めた。EV基盤技術の標準化だ。部品のモジュール化が一段と進むEVは、日本のものづくり技術の優位性が失われるリスクも高まる「両刃の剣」でもある。相次ぐベンチャーなどの参入も自動車業界の勢力図を変える可能性を秘める。世界的なEVへのうねりの先にどのような未来像があるのか。各社の手探りが続きそうだ。
グループで開発・コスト削減
「未来の車を決してコモディティ(汎用品)にしたくない」――。トヨタの豊田章男社長が抱いた思いはマツダ<7261.T>との提携、そして10月にデンソー<6902.T>も加わりEVの基盤技術開発会社設立へとまず結実した。
複数企業が、軽自動車からトラックまで幅広く展開できる同じプラットフォーム(車台)、駆動モーター、電池などを開発・共有すればコストを下げられる。その上で、個性を出しにくいEVで「いかにブランドの味を出すかが挑戦だ」と豊田社長は話す。
永田理・トヨタ副社長は7日の決算会見で、この新会社で「みなで力を合わせ、コストダウンを図りながら、よりよい電動化戦略を進めたい。いろいろな会社の参画を期待したい」と呼びかけた。傘下の日野自動車<7205.T>やダイハツ工業はもとより、今のところ出資先のスバル<7270.T>、提携協議中のスズキ<7269.T>が参画に前向きだ。
「チーム・ジャパン」としてやれることを考えないと欧米・中国勢などと対抗するのは難しいと、スズキの鈴木俊宏社長も2日の決算会見で指摘。好業績をけん引したインドでEV化が「一気に進めば、足元をすくわれるのではと非常に心配」と危惧する。
独フォルクスワーゲン<VOWG_p.DE>は、すでに欧米で投入しているEV「e―ゴルフ」の受注を10月から始めた。同社の日本でのEV販売は初めて。2020年に専用車台「MEB」ベースのEVを発売予定で、25年にはグループで新車の4分の1に相当する300万台のEV販売を目指し、同年までにEV50車種を投入する計画だ。
EVで先行してきた日産自動車<7201.T>、仏ルノー<RENA.PA>、三菱自動車<7211.T>の連合も20年までにEV専用車台を開発し、モーターと電池も共有。22年までに3社で計12車種のEVを投入する方針。