フィギュア羽生選手、4回転は何がスゴいのか 平昌五輪まで残りわずか、男子の展望は?
現在の男子フィギュア界は空前の「高得点時代」に突入しています。その立役者がほかでもない羽生選手です。
フィギュアスケートは、ショートプログラム(SP)とフリースケーティング(フリー)の2つの演技の合計得点で争う競技です。
このSPとフリー、さらに合計得点のすべての世界歴代最高得点を羽生選手が持っています。羽生選手が史上初めてSPで100点を超えたのが、2014年ソチ五輪の舞台でした。
そして、2015年のNHK杯で、フリーが初めて200点を超え、さらにSPとの合計得点でも史上初の300点超えをたたき出しました。
このときはSPでも世界歴代最高得点を更新。約2週間後にスペイン・バルセロナで開催されたグランプリ(GP)ファイナルで、自身が持つSPとフリー、合計得点のすべての世界歴代最高を塗り替えました。そして、2017年4月の世界選手権のフリーで自らが持つフリーの記録をさらに更新。SPで5位と出遅れたところから逆転優勝へとつなげたのです。
その世界選手権では、SPで3人が100点を超え、フリーでも3人が200点を超えました。結果、2位に躍進した宇野昌磨選手(トヨタ自動車所属、中京大学)を含め、300点の大台を4人が突破したのです。
平昌五輪のキーワードは「4回転ジャンプ」
高得点時代の原動力は、トップ選手が次々に跳ぶようになった4回転ジャンプにあります。
4回転時代の本格的な到来は2010年バンクーバー五輪後からでした。バンクーバー五輪では、4回転に挑んだエフゲニー・プルシェンコ氏(ロシア)が銀メダルとなり、4回転を回避して演技をミスなく終えたエヴァン・ライサチェク氏(米国)が金メダルを獲得しました。
これに、プルシェンコ氏が「時代に逆行している」などとかみつきました。4回転ジャンプを跳ぶか否かは、五輪期間中の論争にもなりました。
そこで、国際スケート連盟(ISU)は4回転ジャンプに挑戦しやすい状況を作るため、これまで少しでも回転不足になるとダウングレード判定(4回転に挑んだ場合、3回転判定)になっていた規定について、4分の1以上2分の1未満の回転不足(つまり50~75%くらい回って着氷した場合)は跳んだジャンプの基礎点の7割を得点(アンダーローテーション判定といいます)として与えるというルール変更を行ったのです。