テレビ局は爆破スイッチを持った者たちを意識せよ
低規模低予算でも良い番組がたくさん生まれるようになれば、ユーザーにとっては素晴らしいことです。良い番組が生まれて、視聴者が増えて、時間帯別の視聴者層の分析が進めば、テレビコマーシャルがネット配信に流れ込むことも多くなるでしょう。
テレビ局は、これから景気が良くなれば、コマーシャル需要はまた増えるだろうと楽観的に見ているかもしれませんが、これまでテレビ局のみで独占していた市場に、致命的な爆破スイッチを持った者たちがすでにスタンバイしていることを大いに意識すべきです。一歩間違えれば、視聴者も広告主もごっそり奪われてしまいます。
何より一番こわいのは、数千万人に対して商売をやっているからこそ儲かるビジネスモデルを作ってしまったがために、視聴者が減少すると、ネットよりも視聴者数が依然多くても潰れてしまう日が来ること。なんやかんや言って、テレビは現状を甘く見すぎです。
フルハイビジョン映像を送受信できる時代へ
ネット映像メディアは、引き続き個人の参入による分離・小型化と、人気コンテンツの集合化が進むでしょう。
向こう10年でネットワークも大幅に進化します。投資や作業が膨大な有線ではなく、LTEやWiMAXなどの無線ネットワークが飛躍的な進化を遂げる。インターネットでも1080iのフルハイビジョン映像を何のためらいもなく送受信できる時代が近くに来ています。そうなったとき、テレビ局はいったい何をするのでしょうか?
ボクが企画にかかわっている「毎日キングコング」は、お笑いコンビのキングコングが1日1本、様々なチャレンジをしてユーチューブに動画を投稿するというコンテンツです。テレビ業界の人々が、局の壁を飛び越えていい仕事をしています。
テレビはオンデマンド配信で小銭を稼ぐしかなくなる
お笑いも、テレビ局がかかわる必要はありません。大がかりな番組も、お金があって視聴者さえいればテレビ局じゃなくても視聴者に届けることは可能です。独自検証も行わずに会見内容を抽出するだけのニュース番組なんて、アナウンサーをひとり雇ってしまえばできてしまう。
おそらく、テレビは過去50数年間で放送したすべてのコンテンツをオンデマンド配信して小銭を稼ぐ程度の著作権商売しかできなくなるのではないでしょうか。
テレビ業界は、もはや首の皮一枚しかつながっていません。主にネット業界で活動してきたボクとしては、ネット系企業のどこかが早くその首を絞めてやればいいのに…… と思っています。そんな自分がちょっとおそろしくもありますが、ネットの成長には最大限の拍手を送りたい。
ネットが万能と思うな
ただし、ネット映像メディアで活動していくクリエイターの方々にひとつだけクギを刺しておきます。ネットがテレビを潰す日が来ても、ネットが万能だとは思わないでください。
テレビだけでなく、ネットにも絶対に流れない「ヒミツ」が世の中にはたくさんあります。「ネットが世界の中心」「ネットで何もかもが解決する」と甘く見た段階で、ボクたちはテレビと同じ末路をたどることになるでしょう。
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