44年ぶり東京23区出店、「大人」パルコの勝算 ファッションビル先駆者が東京・上野に進出

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パルコの牧山浩三社長は「パルコヤで培ったノウハウをパルコで吸収する」と強調した(撮影:今井康一)

2019年秋には旗艦店の渋谷パルコを建て替えて再開発する延べ床面積約6万3000平方メートル(オフィス棟など含む)の大型複合施設「新生渋谷パルコ」をオープンするほか、2021年春には大阪の大丸心斎橋店本館に隣接する北館に、パルコを出店する。パルコの大阪進出は10年ぶりとなる。

【11月4日16時15分追記】初出時「大阪進出は初」としていましたが、「進出は10年ぶり」に訂正しました。

これら一連の新店舗ラッシュが控える中、パルコは地元密着型を打ち出したパルコヤの取り組みを、今後の店舗開発に生かす。牧山社長は「パルコヤで培ったノウハウをパルコで吸収する。そして、2019年開業の新生渋谷パルコにつなげていきたい」と強調する。

大丸心斎橋店北館の再開発にノウハウ生かす

パルコヤは新たな顧客を獲得することができるか(撮影:今井康一)

百貨店と専門店の連携という意味でも、松坂屋上野店本館と隣接するパルコヤの開発ノウハウは、大丸心斎橋店本館と隣接する北館の開発に反映されるだろう。

松坂屋上野店南館の再開発は、パルコがJ. フロント傘下に入った際に、すでに計画が進んでいた。だが、心斎橋店北館の再開発はパルコが計画立案から参画する案件となる。「最初から気合いを入れて参画してくるだろう」と、J. フロント関係者は期待を寄せる。

パルコは渋谷店を休業している影響もあり、2017年度の営業利益は前期比18%減の116億円になると見込む。中期経営計画では2021年度に営業利益147億円という数値目標を掲げている。

消費者のライフスタイルの多様化、高齢化進行や人口減少、インバウンド需要の浮き沈みなど、小売り業界を取り巻く環境変化は激しい。パルコヤで新しい顧客を開拓し、その運営ノウハウを次の店舗開発につなげることができるか。今後のパルコの成長を占う意味においても、パルコヤの取り組みは1つの試金石となりそうだ。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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