44年ぶり東京23区出店、「大人」パルコの勝算 ファッションビル先駆者が東京・上野に進出

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日本料理店「くろぎ」が出店した和カフェ&バーで食べられるスイーツ(撮影:今井康一)

パルコヤは一言で表現すると、大人向けの店舗だ。パルコは20~30歳代の若い世代を主要顧客としているが、パルコヤについては上野御徒町という下町に店舗を構えることを考慮して、30~50歳代の団塊ジュニア世代層を中心顧客として設定した。そのため、「既存のパルコより高い年齢層の大人を意識した形で、それぞれの専門店を展開している」(パルコヤの小林昭夫店長)。

たとえば、2011年と2012年に『ミシュランガイド東京』で星を獲得した日本料理店「くろぎ」は、和カフェ&バーを出店。世界的な建築家である隈研吾氏が店内デザインを手掛けるなど、隠れ家的な落ち着いた雰囲気を演出している。

上野と縁のあるブランドも展開

創業者が上野と縁の深い、老舗かばんメーカーの吉田カバンも出店(撮影:今井康一)

地元密着を意識し、上野御徒町エリアと縁の深いブランドも11店舗誘致した。「KURA CHIKA by PORTER」というブランドで出店する老舗のかばんメーカー「吉田カバン」は、創業者の吉田吉蔵氏が12歳から縫製の修業を積んだ場所が上野だった。

同様に、日本製のオリジナル帽子を揃える「CA4LA(カシラ)」も、1989年に上野で創業し、アメ横のガード下で始めた1~2畳の帽子店を原点とする。地元民が松坂屋上野店南館の思い出として「地下であんみつ食べたよね」と話題にすることが多い、あんみつの「みはし」も再度出店している。

パルコヤは年間のテナント売上高目標が60億円と、2017年2月期の売上高が2683億円のパルコにとって、それほど収益規模の大きい店舗ではない。だが、同社の今後の経営において重要な意味を持つ店舗である。

パルコは現在、2021年度を最終年度とする中期経営計画を推進している。その中で、8件ものファッションビルの出店が決定している。

2017年度後半には、賃料固定型の小型店舗「京都ゼロゲート」を、そして2018年春には「原宿ゼロゲート」を開業。2019年春には東京・錦糸町駅前の商業施設に新業態の店舗を出店する。

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