ビームス社長「NIKEを売るのは大冒険だった」 「日本にナイキを紹介した男」を知ってますか
――経営トップとして、共感するところが多いと。
ビームスもナイキと同じように、トップが信頼する社員に仕事を任せていますし、しかもいろいろなタイプの社員がいてそれぞれの個性が強いというところがあります。トップが言ったことに対して社員は言いなりになるのではなく、反対意見も言うという社風も似ています。
私も社員から「社長、それはだめです」と言われることがあります(笑)。私は、ビームスを動物園みたいな会社だと言うことがよくあります。社員のさまざまなキャラクターに合わせて仕事を任せながら、だんだんと会社が成長していった。そこがナイキと非常に近いと思いますね。
また、ナイキは、靴の専門家ではなく、陸上競技に打ち込んでいた人たちが始めた会社です。自らもスニーカーを履いてスポーツをし、その経験からクオリティを高めて、さらにスポーツ選手と組んで改良を重ねていきました。
そのリアルさと製品への自信、そして、それを世の中に広げる手段をしっかりと実行していったからこそ、ナイキが成長したのだと私は思っています。私たちも、スタッフ自らが使い込んでみて本当によいものだけを世の中に提案することで、会社が成長していきました。
百貨店が全盛の時代に、私たちは「十貨店」を目指そうと意気込んでいたのです。
努力は夢中に勝てない
――働き方という点で、参考になる点はありましたか?
この本で強く感じたのが“努力は夢中に勝てない”ということ。これは私が社員によく言っている言葉です。フィルも社員も夢中になって仕事をしている。バットフェイスと称する最高経営会議でも、時間も忘れて熱のこもった議論をしたり、あるいは喧嘩(けんか)をしたりする。仕事が好きで好きでたまらないのでしょうね。
仕事を英語でいうと、レイバー、ワーク、プレーがあります。私が思うに、レイバーは、嫌だと思っていても残業してでもこなさないといけない仕事、ワークは普通の仕事、プレーはスポーツのように自らが好きで打ち込める仕事です。
私たちはよく、「仕事をプレーにしたい」と言っています。好きで好きでたまらないことなら、時間も忘れて打ち込むことができるんです。そうした集団であることを突き詰めていくことが、ビームス全体のこれからにもつながると思っています。
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