今年でもう3度目、東芝株主総会に漂う徒労感 メモリ売却などは波乱なく承認されたが・・・
経営陣に対しては、「経営陣は全部ダメ。協業しているウエスタンデジタル(WD)が訴えるのは当たり前。原発の損失は2016年より前からわかっていたはずで、監査法人が正しい。東芝は上場廃止が当然」(千葉市に71歳の女性)などと厳しい声が多かったが、「今の経営陣は頑張ってくれている」(70代男性)という激励もあった。
もっとも、マシンガンのように経営陣への不満をぶちまけた前述の71歳の女性でさえ「役員全員に辞めてもらいたいが、そうはいっても人がいないので仕方がない」とあきらめ顔だった。
淡々と進んだ総会
まず、会社側は2017年3月期決算、PwCあらた監査法人が「限定付き適正」としたことへの反論、WH関連の損失、今後の東芝の姿、東芝メモリの売却などについて、淡々と説明していった。
株主からの質問は主に4分野に集中した。①東芝メモリの売却は来年3月末に間に合うか、②WHに関連した巨額損失の引き金となった米原発建設会社(S&W)買収についてのリスク認識、③「限定付き適正」となった監査について、④社内風土改革の実効性、だ。
①について、独占禁止法の審査とWDによる訴訟が課題と認めたうえで、「独禁当局に説明して承認を得られるように努力する」(綱川社長)、「WDの訴訟は解決していかないといけないが、買収を決めたベイン(キャピタル)とは、本件が解決していなくてもメモリ事業を引き取ることで大筋合意している」(財務担当の平田政善専務)と述べた。
来年3月末までに売却が完了しない場合、「具体的には言えないが、環境の変化に応じてさまざまな手段を考えて進めている」と綱川社長が回答した。WDの訴訟などで3月末までの売却が間に合わないことを危惧した株主が、東芝メモリを売却しないでメモリ事業の利益を元に東芝が優先株を発行して増資するスキームを考慮するように、3号議案(東芝メモリの売却)の修正動議を出したが、3号議案はそのまま承認された。
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