疑獄は最高層に波及、習近平政権の剣が峰 薄煕来事件は前最高幹部に飛び火。共産党に激震

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香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポスト(8月30日付)の報道が北京を揺さぶった。近く中国当局が、周永康・前中国共産党政治局常務委員の汚職疑惑で調査に乗り出すという観測を伝えたのである。最高指導部メンバーである常務委員の経験者が汚職で失脚すれば、文化大革命以来の激震が共産党を襲うことは避けられない。

折しも、元中央政治局委員で重慶市党書記を務めた薄煕来の汚職事件の公判が終わったばかり。公判まで18カ月もの時間がかかっており、過去に汚職で失脚した政治局委員、陳希同・元北京市党書記や陳良宇・元上海市党書記のケースと比べても異例の長さであった。ここに共産党内部の迷いと、内部での意見対立を読み取る声は少なくない。

「高官の汚職事件の公判で、あれほど堂々と容疑を否認され、戦う姿勢を鮮明にされてしまったことは過去にありません。彼の政治生命は細い糸でつながったとする見方も多いのです」(党中央の関係者)

ネットでは「いまや人民を代表するのは共産党ではなく薄煕来だ」という書き込みまで出る始末で、明らかに将来、党に災いをもたらす存在になるだろう。しかし、世界の目が裁判に注がれる中、法治国家としての体裁を大切にしたい中国は彼に極刑を言い渡すわけにもいかない。

「だからこそ、薄より悪質な事件として周を裁き、周との関係を強調することで薄の存在を消してしまう。そんな狙いが当局の動きの背後にはあるのかもしれません」(同前)

その兆候は明らかに感じられる。一つは中国当局が8月26日付で発した、中国石油天然ガス集団(CNPC)副総経理で大慶油田総経理の王永春以下4人の幹部を規律違反の疑いで拘束したというニュースだ。そしてもう一つは、国有資産監督管理委員会主任(閣僚級)の蒋潔敏が重大な規律違反で解任されたという、9月3日の新華社報道だ。蒋は元CNPC董事長である。周の大慶油田総経理時代の補佐役であった王をはじめ、全員が周と関係の深い面々なのだ。すべてがCNPC出身で「石油王」の異名を持つ周に連なる問題であることがうかがえる。

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