疑獄は最高層に波及、習近平政権の剣が峰 薄煕来事件は前最高幹部に飛び火。共産党に激震

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指導部内でも意見は割れる

北京で中南海周辺を取材する地元メディア記者は「中央紀律検査委員会(中紀委)などの捜査機関が、CNPCのウミを徹底的に出そうとしているのは明らか。だが、捜査の過程で当然出てくると予想される周の問題を最終的にどう扱うかについては、いまだに習近平指導部の中でも意見が割れている」という。

もともと、薄の事件の裏側に周の影がちらついていたことは知られた話だ。一度は追及しないことに決まったものの、急に流れが変わった。転機は毎年夏に最高指導部の面々が、そのOBも含めて河北省の避暑地で行う「北戴河会議」だ。

8月14日に終わった北戴河会議では、周永康の問題が中紀委から提起されていた。今年は人事が絡まないため注目度がいま一つだったが、出席者の数は過去最高だった。そこで話し合われた重要議題は二つある。一つは法制、経済の改革を深化させることだった。中でも重点は法制改革で、11月の党中央委員会全体会議では、悪名高い「労働改造」廃止など法制面の新しい政策が目玉となる。そして、二つ目の重要議題が反腐敗運動強化だった。

「ここで中紀委によって提起されたのが周永康問題でした。周本人への取り調べは見送られましたが、彼の牙城であるCNPCへ徹底的にメスを入れることで合意が取れたようです」(前出の党中央関係者)

ただ、今後の捜査の展開によっては、周自身も無傷では済むまい。そうなれば共産党の威信にも響くだけに、習政権にとっては剣が峰だ。

(撮影:ロイター/アフロ =週刊東洋経済2013年9月14日号

富坂 聰 ジャーナリスト・拓殖大学教授

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とみさか・さとし / Satoshi Tomisaka

中国ウォッチャーとしては現代屈指の一人。1964年愛知県生まれ。北京大学中文科中退。週刊ポスト、週刊文春などで名を馳せたのち、独立。中国の内側に深く食い込んだジャーナリストとして数々のスクープを報道。2014年より、拓殖大学教授。

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