信用収縮直撃! まだまだ続くゼネコン・不動産の連鎖倒産

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 都内の優良立地の物件は、価格は高いもののそれなりに売れている。これらの多くは大手デベロッパーの手によるもの。大手のように優良立地を獲得するノウハウを持たない中堅・新興デベロッパーは、大手が見向きもしない郊外の物件に向かわざるをえなかった。

立地の点で劣る物件は、大幅な値引きをしないと売れない。だがユーザーの希望する価格まで下げられるかどうかはデベロッパーの体力次第だ。しかも損失覚悟で物件を売り切ったとしても、さらなる問題がのしかかる。それは中堅・新興デベロッパーの多くが、マンション分譲に加えて、一棟丸ごと投資家に販売する不動産流動化事業も手掛けている点だ。
 
新興デベロッパーと地方ゼネコン連携の破綻

一戸ずつ売りさばく分譲に比べて手間がかからない一棟売りははるかに利益率が高い。だが前述のとおり投資家サイドの熱は冷めきってしまっていた。物件が売れなくても、銀行への返済期限は迫る。破綻したゼファーやアーバンコーポレイションの破綻の原因もまさに資金繰りだった。

首都圏に「出稼ぎ」にきた地方のゼネコンが破綻する例も相次いでいる。原因はマンションデベロッパーの破綻だ。

公共事業の縮小で、ゼネコン各社はどこも民間事業に活路を見いだそうとしている。しかし一流企業の工場建設や、三井不動産、三菱地所といった大手デベロッパーが手掛ける首都圏のマンション建設には、すでに大手ゼネコンががっちりと食い込んでいる。地方ゼネコンは中堅・新興デベロッパーが開発する郊外マンションを請け負うしかなかった。

「マンション工事代金の8割はマンション完工後に支払われる」(業界関係者)という。つまりマンションが売れないとデベロッパーは工事代金をゼネコンに支払えないのだ。これがゼネコンの資金繰りを厳しくする。7月に東証1部上場の真柄建設、ジャスダック上場の三平建設が相次いで倒産したが、いずれも取引先デベロッパーの倒産に伴う連鎖倒産だった。

ただでさえ、ゼネコンは鉄鋼やコンクリートなどの資材高に苦しんでいる。そこへデベロッパーの与信リスクという問題が絡む。さらに銀行の融資引き締めが加わると、どんなゼネコンでもたちまち立ち行かなくなる。負の連鎖からの脱却の道筋はまったく見えない。


(週刊東洋経済)
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