風向きが変わったのは、衆議院の解散観測が流れ始めてからだ。懸念されていた北朝鮮の挑発行為がいったん休止。与党である自民・公明党の優勢が伝えられると、海外投資家の姿勢は一変した。
22日の衆議院選は事前の予測通り与党が勝利した。ただ、20日時点の日経平均の予想PERは15倍と、先述のPERのレンジ半ばまで上昇。自公勝利はすでに相場に織り込まれていたといってよいだろう。
1996年の2万2666円を超えられるか
この先の上値余地はどこまであるのか。
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、「10月下旬から本格化する3月期決算企業の中間決算発表で、通期業績の見通しが上方修正される可能性が高い。PERは上昇しなくとも、業績の上振れにより日経平均は年内に2万2000円を目指す展開もあるだろう」と指摘する。
目先に波乱があるとすれば、11月上旬にも内定するとされているFRB(米国連邦準備制度理事会)の次期議長の人事だ。
イエレン現議長は株式市場に気配りするハト派とされ、熱くもなく冷たくもない“適温相場”を形成させた立役者。イエレン氏の再任の芽は残されているが、ほかにもハト派、タカ派それぞれ有力候補がいる。結果次第で、これまでの株価上昇の利益確定売りの口実にされる可能性がある。
野村証券の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジストは、「短期的には過熱感があり、調整も入るだろう」と言う。
だが、「来期業績の増益を織り込み始める年明けから春にかけて、日経平均は2万2500円に達する場面もありそうだ」(同)と上昇基調は続くと見る。
1989年のバブル崩壊後の日経平均の戻り高値は、1996年6月につけた2万2666円。この水準が次の大きなヤマ場となる。
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