バスケ男子の「プロリーグ」は野球を超えるか 2年目を迎えた「B.LEAGUE」を分析

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大河:新国立競技場みたいに公共事業で建てようとするとべらぼうに高くなるから、自分たちで出資を募って建てればいい。要するに、街づくりですよ。市街地のどこかに建てられれば、周辺も商業地として開発できるし。こういう総合的な計画を立てられるところがチームを持つ。壮大な夢ですけど、こういう流れが出てくれば、B.LEAGUEはとてつもなく大きくなれる気はします。ビジネスサイズが1ケタ、2ケタ変わってくるでしょうね。そういうのにチャレンジしたいと思っている。

B.LEAGUEの今後の課題とは?

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島田:Jリーグは「地域密着」という言葉をスローガンにしてクラブ運営を進めてきましたけど、これを私なりにアレンジして、ジェッツでは「地域愛着」を目指しているんです。「応援するクラブが好きでたまらず、気がついたら本拠地のある自治体に引っ越してた」というファンを1人でも増やしたい。

スポーツって人生を変えてしまうほどのパワーがあるし、人々を幸せにするだけの要素もいっぱいありますよね。実際、少数ですけど「ジェッツがあるから船橋に住みたい」と口にする人もいます。これからは、ジェッツの試合を見るために本当に引っ越してきてくれる人たちを増やしていきたいですね。

大河:B.LEAGUEに所属するクラブは、34都道府県に45(B3含む)もあって、国内のあちこちで年間1314試合(B3含む)も行われている。こんなプロリーグはありませんよ。Jリーグよりも多い。

NBAに視察に訪れたときにね、こんなことを言われたのを覚えています。

「私たちは北米のバスケットリーグを取りまとめる組織だけど、実はメディアカンパニーなんですよ」

つまり、自前のアリーナを持ち、そこで行われているメディアコンテンツを売るっていうビジネスモデルを確立させているんだよね。こうなると、世の中に対する影響力も強くなるし、事業規模も一気に拡大する。それぐらいしないとスポーツは産業化しないってことがよくわかりました。

NBAとはやり方は違っても、島田さんのような能力の高い経営者が1人でも増えて、ジェッツのようなクラブが20チームぐらいに増えてきたら、B.LEAGUEも相当なパワーを発揮できるようになると思う。

島田:B.LEAGUEという1つのリーグが出来ても、現場のクラブの状況がよくならないと全体を盛り上げることはできません。今後は、リーグ側とクラブ側が協力しながら各クラブの力を底上げしていくことだと思います。それがB.LEAGUEの今後の課題ですね。

(後編に続く)

(構成:野口 孝行)

大河 正明 B.LEAGUEチェアマン

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おおかわ まさあき / Masaaki Okawa

1958年5月31日、京都府生まれ。1981年、京都大学卒業後、三菱(現・三菱東京UFJ)銀行入行。1995年から2年間、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に出向。その後、銀行に戻り支店長などを務めた後、2010年に銀行を退行。2012年、社団法人日本サッカーリーグ理事に就任。2014年、公益社団法人日本プロサッカーリーグ常務理事に就任。2015年、公益財団法人日本バスケットボール協会専務理事、一般社団法人(現・公益社団法人)ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(B.LEAGUE)チェアマン(理事長)就任。

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島田 慎二 千葉ジェッツふなばし代表、B.LEAGUEバイスチェアマン

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しまだ しんじ / Shinji Shimada

1970年11月5日、新潟県生まれ。1992年、日本大学法学部卒業後、マップインターナショナル(現・エイチアイエス)入社。1995年、ウエストシップ設立。2001年、ハルインターナショナル設立。2010年、全株式を売却。同年、リカオン設立。2012年、ASPE(千葉ジェッツ運営会社)代表取締役就任。2015年、公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ理事就任。2015-16シーズンにおいて、1試合の観客動員がNBL最多の6835人を記録、年間観客動員も初めて10万人を突破する。B.LEAGUE初年度の16-17シーズンでは、天皇杯で日本一を達成。1試合の観客動員が7327人、年間観客動員が13万5000人とともに日本一を更新し、人気・実力ともにトップチームに押し上げる。17年9月、B.LEAGUEバイスチェアマン(副理事長)就任。

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