バスケ男子の「プロリーグ」は野球を超えるか 2年目を迎えた「B.LEAGUE」を分析
島田:お客さんの入りがチームの勝ち負けだけに左右されていたら、クラブ経営は成り立ちません。勝っても負けても、お客さんがまた見たいと思ってくれないとダメ。それで、どういうバスケで魅せればいいか考えたんです。エンターテインメント性やホスピタリティも大切ですけど、競技という本質的な部分では、やはりアップテンポなバスケにかなうものはないだろうと思いました。
うちにはスピードが売りの富樫もいるので、必然的に今のスタイルが出来上がったんです。勝つという視点、魅せるという視点、お客さんが喜ぶという視点、すべて合わせて考えて、今のスタイルがいいだろうと思ってやっています。
「アリーナスポーツ」としての圧倒的な潜在力
大河:バスケットボールは、現在あるプロスポーツの中で、唯一のアリーナスポーツです。このアリーナをうまく運営できれば、今後とてつもない可能性があると考えています。
今は残念ながら体育館を借りて試合をしていますけど、アリーナ自体を事業としてとらえていくと、ものすごい規模のビジネスができるはず。日本ではアリーナ運営をビジネスにしているところはないけど、水面下では何かが動きそうな感じはある。
実際に具体的な動きが出れば、それはB.LEAGUEの誕生が1つのきっかけづくりになったと言えますね。それだけじゃなく、政府にはスポーツ庁が出来たし、2020年には東京オリンピックも開催される。確実に風は吹いています。この追い風を最大限利用して、2~3年の間に「アリーナビジネス」のスタイルを確立できれば、そこでプレーが行われるバスケットも大きく発展して、サッカーや野球とは異なる独自のプロスポーツの形をつくれるかもしれませんよね。
島田:ビジネスとして見ても、バスケにはチャンスはいくらでもあると思います。日本の至るところにアリーナが出来れば、間違いなく注目されるでしょうね。コンサートや各種イベント、卓球などもできるようにして、B.LEAGUEのクラブがそこを本拠地にする。その中で、クラブはホームタウンの街づくりにも参加して、地域の発展を支えていけばいい。アリーナを中心とした地域マーケットが生まれたら、すごい状況になるでしょうね。
もちろん簡単な話ではないですけど。来場者数がB.LEAGUEトップで、しかも船橋の行政とがっちり手を携えているジェッツでも、アリーナ建設というレベルには至っていませんから。時期尚早というか、まだまだハードルは高い。ただし、将来的にはそういう形を目指すべきでしょうね。
大河:野球のドームは、建設に500~1000億円くらいはかかる。バスケのアリーナはどうかな。Jリーグのスタジアムの例だと、ガンバ大阪の市立吹田サッカースタジアムは総工費が140億円。収容人数で見ると4万人というサイズです。単純には比べられないけど、収容人数1万人規模のアリーナなら、100億円もかからないんじゃないかな。