今年の「ほぼ日」は雑貨展・地球儀・学校で稼ぐ 糸井重里代表「僕自身がセールスマンになる」

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シェイクスピアから始めるのは、たとえばあるインキュベーター(ベンチャー育成家)が、「ベンチャー投資では(経営者がどんな人かという)人間理解が一番大事。若いときにシェイクスピアを読んでおくと役に立つ」という話を糸井代表が聞いたことがあったからだという。シェイクスピアの後は「万葉集」や「ダーウィン」といったテーマに取り組む予定だ。

なぜ古典なのか。「(自分、ひいては今の日本人には)古典が足りていない」。そんな糸井代表の問題意識から始まったのだそうだ。「経済を語るにしても、人間が作ってきた歴史・社会・文化が体内に取り込まれた形で語るのが本当なのではないか。そう言われる時代が来る」と予測している。

ほぼ日の学校もまた「人が集まる場」の創出であり、意外な分野の専門家が古典を語るのはまさに、コンテンツを載せていくというほぼ日のやり方そのものなのかもしれない。

株主には「ほぼ日5年手帳」をプレゼント

篠田真貴子CFOは初の株主総会を前に意気込む(撮影:尾形文繁)

ほぼ日は11月26日に上場後初の株主総会を開催する。株主を恐れ、平日の昼間に実施されがちな総会だが、ほぼ日はあえて日曜日を選んだ。篠田CFOはその理由について「少しでも多くの個人投資家に会いたいからだ」と強調する。

ほぼ日では株主の定義もユニークだ。「ほぼ日の株を持つ形で、ほぼ日(という場)に参加してくれている人」(糸井代表)。だからこそ一人でも多くの株主に会いたいという発想になる。株主総会後には、5時間ほどのイベントを企画中だ。「本来ならおカネを取れるくらいのコンテンツ」を準備する。

株主優待として新製品の「ほぼ日5年手帳」を株主に送る予定だ。「長く株主でいてね」という思いもあるという。ほぼ日手帳は1年版が主流だが、あえて5倍にしつつも、「『コンサイス英和辞典』のようなギリギリ持ち歩ける大きさにした。手前みそだが素敵な仕上がりにできた」(篠田CFO)。

ビジネスの展開も株主との関係づくりも斬新なほぼ日。地球儀や学校という新たな挑戦は吉と出るか。糸井代表のさらなる次の一手に、想像をかき立てられる人も少なくないだろう。

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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