USJ再生の森岡氏が新会社「刀」を作った理由 日本を代表するマーケッターが動いた

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――新会社の名前は「刀」(かたな)。とてもユニークですね。会社の規模もさることながら、社名にはどんな意味合いがあるのでしょうか。また既存の大手コンサルタントと一見似ていますが、違いや強みは何でしょうか。

現段階で「刀」は、それぞれのプロの領域で傑出した才覚を持つ精鋭を両手両足の指の数くらい集めていますが、これからもっと増えるでしょう。 私のように企業を勝たせる大戦略を作り実行する人材だけでなく、「消費者インサイト」(消費者の購買行動の奥底にあるホンネを洞察すること)に長けた質的リサーチャー、高度な市場構造分析を専門とするアナリストなど、消費財マーケティングに必要とされる重要分野の人材はもちろん、デジタル・ソーシャルなどのマーケティングに秀でた人材だけでなく、クリエイティブ、デザインの人材もすべてそろえています。それだけではありません。企業を再生し変えていく推進力として最も大事なのは人ですが、マーケティングができる会社へ迅速に組織構造変革できる戦略人事機能も任せていただけると自負しています。

「マーケティング」という武器で企業の再生を果たす

刀という会社には、2つの意味があります。1つは私たちの会社が、日本企業の国際戦略上の「1つの武器」になりたいということです。古くは日本の侍にとっての武器は刀でした。現代の日本企業の武器は、マーケティング。私たちの売り物であるマーケティングを武器として使ってくれという意味です。もちろん、私が日本企業の再生に熱心に取り組むといっても、「刀を持って外資系を切り倒す」ということではありません(笑)。

もう1つは、「ムダをそぎ落とし、本当に企業がやるべき企業戦略を形にする」ために必要な道具の象徴としての刀です。たとえば、コンサルタント会社に再生を依頼すると、「あなたの企業の問題点は32ある」などと言われます。

しかし、本当に重要なのはたった1つの「重心」であり、それは多くとも集中すべき3点を見つけることで明らかになります。つまり本当に重要なこと以外をできるだけそぎ落とし、選択と集中すべき3つを実行することで再生という大事は成し遂げられるのです。しかし20や30もの課題の羅列では、どこから手を付けるべきかわからない。多くのコンサルではそれがわからない。なぜなら、マーケティングの実戦経験が乏しいからです。私たちにはそれがわかります。

私たちはコンサルではありません。ボストンコンサルティンググループやマッキンゼーなどの優秀なコンサルが持つノウハウを、まねしたり超えることが会社設立の目的ではありません。われわれは彼らができないことをやりたい。それは1つでも多くの企業にマーケティング力を移管し、USJのように目に見える成果を出すだけでなく、私たちがいなくなっても「自分で魚を釣れる」ように機能し続ける状態を作ること。これが私たちの仕事だと思っています。

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