そのうえで、あと1週間で注目したいポイントは次の3点だ。
第一に、選挙に対する国民の関心が高まり、投票率が高まるかどうかだ。2012年の衆院選挙の投票率は59.32%、2014年は52.66%と、安倍政権はこれまで投票率が極めて低い中での勝利だった。一般的には投票率が低いほど組織力の高い自民党に有利とされるが、投票率が上がるほど、新党への風が吹く構図となり得る。10月10日時点のNHKの世論調査によれば、衆院選の投票に「必ず行く」との回答は56%。また、今回の選挙に対して「非常に関心がある」が32%、「ある程度関心がある」が44%で、合わせると76%に上ることを考慮すれば、それなりに国民の関心は高まっているようだ。
第2のポイントは「青木率」である。内閣支持率と与党第一党の支持率を合計した数値のことだが、これが50%を下回ると政権の存続が危うくなるといわれている。同じくNHKによる10月7日~9日までの世論調査では、安倍内閣支持率が37%、自民党支持率が31.2%となっており、68.2%と安定圏内だ。日本では4-6月期のGDP成長率は前期比年率2.5%、失業率は2.8%まで低下するなど、足元の景気が良好であることも現政権の青木率を支えているようだ。ただ、選挙を決めてからは低下しているのも事実であり、今後も注目したいところである。
第3は北朝鮮の動向だ。北朝鮮によるミサイル発射などの挑発行為がエスカレートするほど、人々の不安が高まる一方で、米トランプ政権と良好な関係を築いている安倍内閣の支持率は上昇しやすい。
これらの注目ポイントがどう変化するかは、フタを開けるまで分からないが、安倍政権続投となっても、前述したとおりそれによる円安効果は1円程度とみている。
米国の利上げを材料に12月には1ドル=115円へ
米国では緩やかな景気拡大と低インフレの「ゴルディロックス(適温経済)」が続くなか、米株価が連日史上最高値を更新するなど、リスクオンの地合いが続いている。経済の安定と北朝鮮問題など政治の不安定が綱引きとなり、今後もドル円は一本調子の上昇トレンドは描きにくいだろう。
ただ、FOMC(米連邦公開市場委員会)はバランスシートの縮小を決定し、12月には追加利上げも見込まれている。ECB(欧州中央銀行)も10月の量的緩和縮小決定を示唆するなど、各国が緩和からの出口に向かうなかで、依然「異次元緩和」を維持している日本の円は最弱通貨となりやすく、その兆候は見え始めている。ドル円が115円を付けるのは、FRB(米国連邦準備理事会)が次回利上げに踏み切る可能性のある12月頃と予想している。
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