台風21号が日本列島に接近した22日投開票の衆議院選挙は、事前予想どおり自公で3分の2(310議席)を超える圧勝となった。野党分裂の追い風があり、希望の党の小池代表の「排除」発言が「ユリコノミクス」ではなく、「ユリコのミス」だった。安倍首相が政権与党を奪還した2012年、2014年と今回で衆院選は3連勝。歴代の自民党総裁では最多回数で、来年2018年9月の自民党総裁選での3選もほぼ確実(2021年までの長期政権化)とみられる。この結果はアベノミクスが信任を受けた形となり、当面は日銀による大規模な金融緩和が維持されよう。
日経平均株価は23日に15日続伸で最長記録となった。解散風が吹いた9月19日に2万円台を回復、10月以降は海外勢主導の本格的な買い(アンダーウェートからの転換)で上昇に弾みがついた。ただし15日間の上昇幅は1340円(上昇率は6.6%)程度にとどまる。日本の景気拡大局面も今年9月で戦後2番目の長さとなったが、実感なき景気回復といわれる。今後のアベノミクスは、地道な成長戦略への取り組みを続け、将来の不安を和らげ、実感ある景気回復を目指すことが求められよう。
海外勢は日経平均2万3000円を視野に
一方の米国も市場の関心がハリケーンの被害から復興期待に変わり、税制改革期待も連なってNYダウが2万3000ドル台と最高値更新の快進撃を続けている。日米の共通点は、良好な経済環境のもとで、企業の業績期待を伴っていることだ。今後は国内企業の業績見通し発表を受け、米欧に比べた割安感が再び意識され、先高期待が盛り上がればPER16倍まで買われてもおかしくはない。
海外勢は日経平均2万3000円(バブル崩壊後の戻り高値、1996年6月の2万2666円)を視野に入れつつある。短期的な過熱感(移動平均からの乖離、騰落レシオの過熱感)に上値を抑えられても、すぐに急激な下落や調整局面に転じる可能性は極めて低いとみる。足元では北朝鮮リスクが和らいでおり、不測の事態とならなければ、株高持続の機運が高まりそうだ。
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