北朝鮮と米国が向かうのは「戦争」か「対話」か トランプ大統領のツイートに惑わされるな
北朝鮮対応を長く行ってきた元米政府職員幹部も、同様の懸念を抱いている。「現状を踏まえると、対話を行うことは最悪だと懸念している。対話はおそらく、北朝鮮が話し合いたいことについてのみとなり、決して非核化についての話し合いにはならない」と同氏は語る。「北朝鮮は何としても核保有国であり続けるという覚悟を決めている」。
過去に北朝鮮政策にかかわった多くの政府関係者らは、おおむねトランプ政権の政策強化の取り組みを歓迎している。特に、中国やロシアなどを経由する資金の流れに対する制裁強化は、封じ込めと抑止の広範な戦略の一環として高く評価されている。
安倍首相は対話に不快感?
しかし、これを実行し続けるには一貫性と忍耐を要する。「現在のトランプ政権が、これを効果的に進めるのに必要な処理能力、道徳的権限、国際的な敬意、米国の国際的リーダーシップへの信念を持っているのかは疑問だ」と、ある元米政府高官は話す。「いろんなことを考慮して、彼らは見て見ぬふりをするか、戦争を引き起こすはずだ」。
見て見ぬふりをした場合は、同盟国からの信頼を失い、彼らを怖がらせることになるはずだ。 もっとも、トランプ大統領にとって同盟国などたいした意味を持っていないため、この可能性は決して低くない。
米国と北朝鮮の指導者が発する弁舌から生じる読み違いで起こりうる戦争の恐怖は、米国政府のみならず、日本政府にも広がっている。が、これに対する温度差は、同盟国間でも差がある。文在寅政権は、自国の北朝鮮への関与を希望しており、対話を歓迎する可能性が高い。「文氏は、条件が何であるかなど気にしないだろう」と、韓国専門家の多くは話す。
一方、自身の再選が懸かる中、北朝鮮に対して厳しいスタンスをとっている安倍晋三首相は、対話への動き(特に短期的動き)を問題視するだろう。ただし、日本としては公に、トランプ政権と異なるスタンスをとるわけにはいかない。
足元の問題は、米国と北朝鮮の矛盾する条件をとりまとめるすべがあるかどうかということだ。前述の元米政府高官は話す。「大事なのは、事前に議題を定めずに対話の機会を設定し、両サイドが自由に希望する議題を提示できるという基本原則を設けることだ」。
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