北朝鮮と米国が向かうのは「戦争」か「対話」か トランプ大統領のツイートに惑わされるな

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軍と軍の間で先に会談を実施する案も出ている。これは、冷戦時代に用いられた「信頼醸成措置(CMB)」と呼ばれる対話形式である。これに基づき、軍事演習削減やミサイル実験を申告するための手続きなどといった対策について話し合う。

ユン代表が参加したスイス会談の参加者によると、このアイデアは北朝鮮側から提案された。これが実現した場合、対話の主導権は、マクマスター補佐官や国家安全保障会議と強いつながり持つマティス国防長官が率いる軍部がしっかりと握ることになる。職員の人員不足によりリーダーシップが欠如している国務省が主導しないことは、トランプ政権にとって好ましいと言える。

とはいえ、対話への道のりは遠い。北朝鮮軍の指揮官はビル・クリントン政権終盤にワシントンを訪れたことがあるものの、「北朝鮮政府はわれわれが彼らの軍部と対話することを好ましく思っていない」と、世宗研究所のストラウブ研究員は話す。

ロシアが大役を果たす可能性も

対話への道は、モスクワを介することがあるかもしれない。ユン代表のカウンターパートである北朝鮮の北米部門をチェ北米局長は先週、モスクワで長い時間を費やした。ロシア情勢に詳しい情報源が指摘するには、北朝鮮はおそらく中国と対話するよりも、ロシアのほうが対話しやすいと考えている。ただしロシア政府が、中国政府と話をせずに行動することはないと見ている。また、ロシアゲート疑惑が続く中、ロシアとの関係を模索するのは困難だとの見方もある。

提供写真(ロイター/KCNA via REUTERS)

ワシントンの政策立案者の大多数は、コミュニケーション不足から生じる衝突を回避するためにも、対話をするべきだとの見方を示している。信頼できる情報筋によると、トランプ大統領がどんなツイートをしようとも、米国と北朝鮮が公式な協議の場を持てるよう、北朝鮮とつながりのある非政府団体に対し、北朝鮮との接触を控えるよう圧力をかけているという。

だが、こうした努力が実を結ぶには、北朝鮮政府がさらなる挑発的な核能力のデモンストレーションを断念する必要がある。韓国情報機関の高官は、北朝鮮の朝鮮労働党創設記念日である10月10日と、中国共産党大会が開幕する18日に、ミサイル実験や何らかの軍事行動が行われると予想している。米軍の航空母艦は、これを受け日本海の目的位置へと移動している最中だ。

過去の例から考えると、トランプ大統領の軽いプッシュで羽ばたこうとしている外交努力を、金正恩はムダにしてしまいかねない。

ダニエル・スナイダー スタンフォード大学講師

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Daniel Sneider

クリスチャン・サイエンス・ モニター紙の東京支局長・モスクワ支局長、サンノゼ・マーキュリー・ニュース紙の編集者・コラムニストなど、ジャーナリストとして長年の経験を積み、現職に至る。

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