テレビドラマは枠からハミ出す戦いが必要だ どうすればドラマは復権できるのか

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大友啓史(おおとも けいし)/映画監督。1966年生まれ。 90年NHK入局、97年から2年間、ハリウッドで脚本や映像演出に関して学ぶ。 帰国後、「深く潜れ」「ハゲタカ」「白洲次郎」「龍馬伝」などの演出、映画『ハゲタカ』(09年)監督を務める。 2011年4月NHKを退局。 14年『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』で同年の実写邦画No.1ヒットを記録、日本アカデミー賞話題賞など受賞。ほか監督作品に『秘密 THE TOP SECRET』『ミュージアム』『3月のライオン(二部作)』など
NHK時代、「ハゲタカ」「龍馬伝」などの演出で名を馳せ、今、映画監督としてヒット作を飛ばす大友啓史さん。組織の枠を超え、表現の枠を超える挑戦を続けるクリエイターに、今のドラマに足りないものを聞いた。

最近のドラマは“金太郎飴”?

当記事は『GALAC』11月号(10月6日発売)からの転載です(上の雑誌表紙画像をクリックするとブックウォーカーのページにジャンプします)

──テレビドラマから映画界へと「枠」を超えた大友さんに今のテレビドラマはどう映っているのでしょうか?

僕らは倉本聰さんや山田太一さんのテレビドラマで育ってきたので、テレビドラマが社会を変えたり、人の価値観を揺さぶったりする、そういうものだと思って、ずっとやってきたわけだけど、今はどちらかというと、商品として、完成されたものをどう提示するかっていうことのほうが大事になってきているのかなという気がします。

同時代性や即時性がテレビの武器であるとしたら、もう少し社会を見据えたドラマ、そこに真正面から無骨にぶつかっていくような作りのドラマがもっとあってもいいのでは、と個人的には思います。多くの人に見てもらうためのドラマということでは、過去の蓄積やマーケティング、どういうものが受けるか、どういうキャストを出せばいいかという切り口になる。それも良し悪しで、それだけだと金太郎飴的な作品になってしまう。逆に、たまに目にする地方局のドラマは、まったく違うものを見て生きているという部分が垣間見えて、個人的には面白いですね。ただ技術面ではまだまだですが。

──ドラマ不調と言われ続けていますが?

ドラマというのは個人の思い込みが乗り移ってくるものなので、結局、冠になるのは組織ではなくて個人なのだと思います。その能力を組織がバックアップできているかどうか。組織が駄目になっていくところはドラマも駄目になっていく気がします。なぜかというと、組織的な事情を最優先するから。ドラマに限らず、面白い作品は、やっぱり個人発。個人のクリエイティブを最大限に活かすことでしか良い作品は生まれない。そう思います。

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