一流の男が「美容」におカネを惜しまないワケ フケ・耳毛・鼻毛は想像以上に見られている

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日常のスキンケアでは栄養クリーム、アイクリームからアンチエージング美容液まで、女性と変わらぬ幅広いラインの導入が進んでいます。香水店のメンズコーナーでは、ブランドのメンズアイテムがギッシリです。パリジャンの特徴は“香りづけ”ですね。日本だったらデオドラントで仕上げのところ、ラストのフレグランストッピングはマストです。

メンズの場合はイチもニもなく清潔感です。野性味ムンムンの渋いセクシーがいいって? ちょいワル親父なんて前世紀の遺物ですよ。いまどき女性は望んでいません。スマートでクリーン、フレッシュフレグランスでセンシュアルをゲットしましょう。女性はフケ・耳毛・鼻毛には想像以上にチェックしていますよ。この1点だけでも、つねに注意を払ってくれる愛する人との共同生活をオススメするほどです。

日本文化の中での男子の美容を考えてみる

さて、やまとおのこ。「パリジャンに見倣ってがんばりましょう」なんて、軽薄なことを私は申しません。むしろ、日本文化の中での男子の美容または化粧ということを考えてみたいのです。

もう30年以上も前のことになりますが、土曜の昼下がりにラジオを聞きながら本を読んでいたら、DJの久米宏さんの「えっ、男の子もシャンプーで髪洗うんですか?」と驚かれる声が耳に入ってきました。そんな時代になっちゃったのかという慨嘆の口調でした。私も「えっ、じゃあ男の子はなんで洗ってるの?」と驚きました。男性化粧品はあっても、メンズ専用シャンプーはまだなかった頃でした。学校でクラスメートに聞いたら、ほとんどは母や姉のシャンプーを使っていましたが、久米さん世代は普通のせっけんで頭を洗っていたようです。

隔世の感という言葉はこんなときに使うんですね。お化粧も自由にできなかった男の子、質実剛健のイメージですが、大昔からそうだったのでしょうか?

「武士道というは死ぬことと見つけたり」で名高く、武士道を説いた江戸時代の『葉隠』という書には「風体の執行(しゅぎょう)は不断鏡を直したるがよし」の一句があります。武家奉公の基本は風采をあげることにあるから、つねに鏡を見て風体をチェックしろと言うのです。

この風習はそれ以前から行われていたようで、日本で織田信長や豊臣秀吉に会見したポルトガルのルイス・フロイスは「われわれの間では貴族が鏡を見ていれば柔弱な行為と考えられるが、日本人の貴族(武士)は衣服を着るために、誰でも鏡を置くのが普通である」と不思議がっています。

それどころか『葉隠』には「写し紅粉(こうふん)を懐中したるがよし」と書かれています。化粧用の口紅やほお紅などを懐に入れておきなさい。時によって、酔い覚めや寝起きなどの顔色の悪い際に、またいざというときには、口紅やほお紅を薄く引いて、風采を整えるようにしなさいと教えています。

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