クラウド向け国内開発ベンチャーがタッグ テラスカイ、資本提携で弱点のアマゾン向け取り込む
震災時に威力発揮したサーバーワークス
サーバーワークスは、AWSに特化したSIer。2000年の創業以来、12期連続増収および黒字化を達成しており、08年からはAWS事業に進出。すでに130社の納入実績を上げている。同社の強みは、AWSのサービスをわかりやすくパッケージして提供することだ。
同社の成功事例としては、震災直後に受けた、日本赤十字社への対応がある。日本赤十字のホームページにアクセスが殺到しサイトがダウン。これに対し、同社がAWSを使い30分で立ち上げた実績がある。さらに被災地向け義援金の収集・管理アプリを48時間で作成、3200億円の義援金の収集・管理を実現したことで評価を得た。
サーバーワークスの大石良社長は「AWSを導入してつけっぱなしにしておくと、従量課金のため、コストがひじょうに重くなる。これを必要な時間だけ使うようにするだけで、コスト削減につながる。また、アマゾンには一見ね何に使うかわからない32のサービスがあるが、組み合わせればできることは多い。そうしたAWSを乗りこなすツールを提供している」と強みを説明する。
サーバーワークスが実績を積み上げてきたAWSは、相次ぐ値下げとサービスの追加もあり、急激にユーザー数を膨らましている。セールスフォース陣営のテラスカイもそれは認める。「AWSの熱狂は3年前のセールスフォースに似ている。AWSの方が取っつきやすい点はある。ただ、セールスフォースもまだまだたくさん売れている。(セールスフォース代表の)ベニオフは天才なので次の一手を出してくるはず」(佐藤社長)。
時代はクライアントサーバーからクラウドへと劇的に動いている。それでも、SIerの多くは依然として、顧客の社内サーバー上であるオンプレミスでのシステム構築を中心としている。特にIT投資の回復基調もあり、基幹システム中心に潤っているだけに、クラウドへの対応はあまり進んでいるとは言いがたい。エンジニアが張り付いている状況では、あまり余裕もないのが実情だ。
それでも、テラスカイ、サーバーワークスという先行するベンチャー2社は、複数クラウドへの展開を具体化し、さらに一歩リードした格好になる。これを受けたSIer各社の動きも注目されるところだが、独SAPなどERP(統合業務ソフト)のクラウド化も進む中で、クラウドシフトは簡単には止まりそうにない。
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