スシローと元気寿司、経営統合をめぐる不安

コメ卸大手、神明が主導する経営統合の行方

確かに、統合のメリットは小さくない。関西を中心とした国内約460店舗で回転ずし業界を牽引するスシローと、関東圏を軸に国内約150店舗で高速レーンを設置して「回転しないすし」を展開する元気寿司は、出店エリアのバッティングが少なく、店舗の特徴も重複しない。

海外展開でも、相乗効果が期待できる。スシローは2016年に米国店舗を閉鎖したことで、現在の海外店舗数が韓国での8店舗のみ。その点、元気寿司は米国やシンガポールなど11カ国で約160店を運営する。今後も積極的に取り組む方針だ。「元気寿司の海外ノウハウは我々の助けにもなる」(スシローグローバルホールディングスの水留社長)と、海外出店のノウハウを共有化していく構えである。

企業文化の違いで統合破談の過去も

西日本を中心に国内で約460店を展開するスシロー(記者撮影)

国内外での出店戦略などでメリットが描ける反面、仕入れ面での相乗効果は限定的になりそうだ。

コメ卸最大手の神明が筆頭株主になればコメの仕入れ面で迅速な供給や仕入れ安が期待できそうだが、スシローは現状、全農パールライスから供給を受けており、当面この体制を継続する方針だ。

そもそも、回転ずし業界では原材料費に占める割合が1割以下とされており、たとえ全農パールから神明に供給が切り替わったとしても、原材料全体の仕入れ安にはつながりにくいと考えられる。

元気寿司は国内で約150、海外で160店以上を出店(撮影:編集部)

高騰傾向にある魚介類の調達についても、「スケールメリットが出にくい」(前出の大手企業幹部)とされる。スシローグローバルホールディングスの水留社長は「天然魚はスケールが効く世界ではないが、養殖魚は長期的に取引をするケースが増えており、より大きな規模のほうがよい」と語る。とはいえ、すでに業界トップの規模を背景に交渉面で有利な位置にあるスシローが、経営統合でどれだけのコストメリットが出せるのかは疑問が残る。

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