スシローと元気寿司、経営統合をめぐる不安 コメ卸大手、神明が主導する経営統合の行方

拡大
縮小

そもそも、回転ずしの企業は創業者が一代で築き上げたケースが多く、調理方法や店舗運営方法などの企業文化にそれぞれ大きな違いがある。この企業体質の違いが表面化して、経営統合が失敗した例も少なくない。

2007年、ゼンショーホールディングスはスシロー前身会社の株式を創業家から取得し、傘下のかっぱ寿司との2社統合による再編を描いた。だが、企業文化の違いから現場の衝突が激化し、統合計画は白紙になった。

今回、経営統合を主導する神明も2013年から2014年にかけて、元気寿司とかっぱ寿司の統合を図ったが、こちらも計画が頓挫。「元気寿司は店内調理にこだわり、職人肌でおすしのおいしさを追求する。一方で、カッパはセントラルキッチンでネタをカットするなど効率化を重視する文化」と、神明の藤尾社長はかつての破談を振り返る。

「同じ、あきんどやな」

「先日、膝を突き合わせて4時間ほど話した。その際に水留社長のことを『我々と同じ、あきんどやな』と感じた」(神明の藤尾社長)。「ライフワークとしてスシローグローバルホールディングスの社長を続けたい。藤尾社長にクビを宣告されない限りは続けていきたい」(スシローグローバルホールディングスの水留社長)、「今回は素晴らしい出会いとなった。ナンバーワンとオンリーワン企業が出会った」(元気寿司の法師人社長)と、それぞれ蜜月関係を強調する。

スシローと元気寿司は企業文化の違いを乗り越えて経営統合を実現し、相乗効果を発現することができるか。統合の交渉は始まったばかりだ。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT